Ⅰ.喋ってはいけない

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 渋々懐中電灯で周囲を照らす。  暗澹たる森の中に差し込まれる光は呑まれるように消え、その暗さを物語っている。何者かが立って、こちらを見ている視線も感じる。  門脇に草の生えていない小道を見つけた。 「おい、こっちに獣道があるぞ。もしかしたら裏口に通じているかもしれない」 「どうしてそう思うの」 「ほら、ホラー映画あるあるだろ。侵入ルート探していたら小道見つけて、辿ったら……」 「ああー」  眞嶋は大のホラー映画好きである。今回の企画も前々からやってみたいと思っていたものである。  そのノウハウから勝手口などの裏口に通じているのではと思った。  一刻も早く戻りたい久米田は恐怖心を抑え、眞嶋の後ろについていく。最後尾を北村が歩き、森の深みへと入っていく。  道は何度も蛇行しながら、フェンス沿いに続いていた。  やがて着いたのは木造の家屋である。
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