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「どうしたの?」
私もしゃがむと、
「信じられない。だって、俺、今日はお前にフラれるのかと覚悟してたのに……」
と、史君が俯いたまま歩道のタイルを指でなぞった。
「どうして、私が史君をフったりするの?」
「結婚しないかとか、海外に行って欲しくないとか、この頃、俺、あからさまにアピールしてただろ。だから、いよいよ、そういうのには一切応えられないから、やめてくれとかってはっきり言われるのかと思って……」
「それって、史君、私のこと――」
「……好きだよ、ずっと。物心ついたときから。脱線しまくってるから嘘くさいかもしれないけど。今までも、ちょっとは匂わせてたんだけどな……ってか、なんでそんなに驚いてんの?」
「だって、全然気づかなかった。それに、いつも私とは正反対みたいな人と付き合ってたから、私は対象外なんだって思ってて……」
「そ、それは俺だって、お前に好かれてないと思ってたから、そうするしかなかったっていうか。玉砕覚悟でお前に告白する勇気はねーし、お前に似た相手だとお前と重なるから、真逆にいくしかないって思って。幼馴染って一番近いようで一番遠いじゃん……」
史君はもごもごと胸の内を明かすと、恥ずかしそうに顔を手で覆った。
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