金ヶ崎の退き口

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金ヶ崎の退き口

元号を元亀元年に改められた時に信長は朝倉を攻める決断をした。 信長の要請に朝倉は従わなかったからだ。 現将軍、足利義昭の暗躍もあった。 信長の要請に従わなかった朝倉を信長は幕府の敵と見なして俺と浅井長政に軍を出すように要請する。 史実よりも少し早い元号改めだが、俺は来るべき時が来たかと思った。 歴史通りなら浅井はからだ。 なので入念に準備を俺はすると岐阜に向けて兵を引き連れて向かった。 本当ならば義兄に浅井は裏切ると言いたいが信長は浅井長政をかって居る。 自分の妹のお市を嫁に出した位だ。 俺の話は信じてくれないだろうから、俺は入念に準備をする。 浅井長政の裏切りに向けて。 そして岐阜に着いた。 「良く来たな熊よ!」 信長は上機嫌で俺を出迎えてくれる。 「此度の戦も熊を頼らせて貰うぞ!」 「は、分かりました」 その日は犬との夫婦生活の話をして色々と此れからの話もした。 あ、犬ですがようやく17才を越えました。ので、夜の方も頑張って居ます。 「後は熊に跡継ぎが出来たら是非に我が娘と婚姻を結ぼうぞ!」 まだ産まれて無いのに信長は盛り上がる。 そして次の日、俺と信長はそれぞれの兵を引き連れて金ヶ崎へと向かった。 金ヶ崎の城は織田軍が次々に落として居る。 木下藤吉郎が奮戦して城を一つ落とした。 順調に城を落として行く織田軍だが此処で寝耳に水の報告が入る 「浅井長政裏切り」 信長はその報告を受けると暫し押し黙った後に一人で遠くを見つめて居た。 其処へ俺が歩み寄る。 「何の用だ熊?下手な事を言ったら熊でも斬るぞ」 信長は俺を見ずに言葉を発する。 「義兄、見事だと浅井長政を笑い飛ばしてやりましょうよ」 「何!」 信長は俺の笑顔を見て黙り込む。 「ああ、やられました見事な裏切りです。戦国時代何ですよ?浅井長政は見事に裏切ってくれました。しかし、それがどうしたのです? 立ちふさがるならば俺が粉砕しましょう。朝倉を選んだ事を後悔させましょう。共に天下を見れない事を後悔させましょう。いやいや見事だ。ただ惜しむらくしは、この只野と義兄を敵に回した事ですね」 信長は此処で顔をふっと笑い顔になる。 「そうだな熊よ頼めるか?」 「勿論です」 「かっかっかっ!我は逃げるぞ!」 「後の事はお任せ下さい」 信長はそう言うと京へと戻るべく馬に跨がり去って行った。 (熊にしてやられたわ) 信長は思わず苦笑を漏らす。 (長政が裏切ったのを見事だと言いきりおって) 仁の殿は熾烈を極めるだろう。 だが信長は心配して居なかった。 (熊の事だ。何事も無かったかのようにひょっこりと帰って来るだろう。 その時は…) 信長は馬を走らせ、ひたすら京への道を掛けて行った。 その頃の只野軍で~す。 いやぁ乱世乱世ですなぁ。こうも読み通りに行くとは思いもしなかったわ。 殿には木下藤吉郎と徳川家康か… まあ、家康はほっといても何とかなるでしょ。 木下藤吉郎と合流しようか。 只野軍は同じく殿をする木下軍と合流するべく動く。 「いやぁ助かっただぎゃあ!今呂布と言われる只野殿と合流、百人力いや千人力だぎゃあ!」 木下藤吉郎はニコニコと心から嬉しそうだ。 俺は配下にある程度指示を出して木下藤吉郎に歩み寄る。 「所で只野軍は何してるのだぎゃ?」 「ええ、此処で朝倉軍を迎え討ちます」 「逃げるのじゃないのきゃ!?」 「一度は朝倉軍の横っ面を殴って置かないとですね。それに殿の戦の経験も貴重ですよ」 俺は自信たっぷりに煙草に火を着けて煙を吐き出す。 「いやはや本当に今呂布だぎゃ…」 ドドドと音が聞こえる。 「ふむ、思ったよりも早いお着きだな。出迎えてやれ」 家臣の蒲生賢秀が指揮を取って鉄砲の一斉射撃を始めた。 パーンッ!パパーンッ!パーンッ!パパーンッ! 先鋒をきって来た朝倉兵がもんどり打って倒れる。 「ふむ、出だしはこんなもんか。鉄砲の射撃を緩めるなよ。朝倉に後悔させてやれ」 「はっ!」 只野軍は鉄砲の射撃を緩める事なく次々に発砲して行く。  次々に倒れて行く朝倉兵。 「何だ!?俺達に有利じゃなかったのか!?」 「何で俺達がこんな目にあっている!?勝ち戦の筈だろう!」 朝倉兵から絶叫とも悲鳴ともつかない声が上がる。 「悪いな俺達は逃げるより迎え討つののが好き何だわ」 「はえ~只野軍が味方で良かったぎゃ…」 鉄砲の射撃で程よく朝倉兵がダメージを受けた所で大砲を前に出す。 大砲には石や泥を突っ込んで居た。 「てえぇぇいっ!」 島左近が号令をあげると同時に大砲が火を吹く。 大砲が火を吹いた瞬間に朝倉兵がミンチになる。 「至近距離での大砲もこうやれば散弾に早変わりだな」 「うおえ」 藤吉郎が思わず、えずく。 しかし、撃たれた方の朝倉兵はもっと悲惨だ。 手がもがれ足がもがれ、内蔵を撒き散らす者まで居る。 大砲の一撃で数百人の朝倉兵が犠牲になった。 「やっぱり狭いからこんな物かな?」 俺は煙草を吹かしながら答える。 「只野殿はやることがえげつないだぎゃ…」 「しかし、今の所は損害は無いですよ」 俺は指示を出す。朝倉の先鋒はほぼ壊滅したがまだまだ兵は居る。 今度は個人の武による恐怖をお見舞いしますかね。 俺と三千のスパルタ隊が前に出る。 「敵に痛撃を与えるぞ」 「「「「「おお―!!」」」」」 朝倉兵が槍襖で迎え討つが、スパルタ隊の前衛がしゃがみこむ。 「何!?」 スパルタ隊のしゃがみ込んだ者を足場にして後ろから次々にスパルタ隊が飛ぶ。 あっと言う間に槍襖を抜けてスパルタ隊が朝倉兵に襲い掛かると、朝倉の槍隊は直ぐに総崩れとなった。 「練度が足らん!出直して来い!」 俺は群がる朝倉兵を纏めて数十人吹っ飛ばす。 青龍偃月刀の重さはかなりの物だ。改造を重ねて様々な金属と合金した結果、その重さは60キロを越えた。 60キロも有る重量物を片手でブンブン振り回す俺はさぞかし驚異に映るだろう。 「あそこに大将らしき男が居るぞ!討ちとれい!」 「討ちとれねえよ」 グシャと俺に向かって来た朝倉兵が潰れる。 そして奥の方を見ると前線の建て直しに必死になる武将が見える。 「馬鹿め立て直しに前に出てきたか!」 俺は朝倉兵の陣をを斬り裂いて行く。 俺に続くスパルタ隊。俺達は一つの槍となって指揮を取る朝倉の武将の前に躍り出た。 「む、貴様等は!?」 「さよなら!」 俺は青龍偃月刀で敵の指揮官らしき人物を馬ごと横から思いっきり斬り裂いた。 指揮官らしき男はそのまま、胴体とさよならして地面に落ちる。 途端に朝倉兵の士気が落ちて戦場が騒然とする。 そして混乱する。指揮を取れる人物が居なくなったからだ。 俺達はここぞとばかりに暴れるに暴れた。 何せ回りは敵、敵、敵、討ち放題な訳だ。 散々、朝倉軍を喰い破ってから俺は木下藤吉郎の待つ自陣へと帰って行った。 全身を真っ赤に染めた俺とスパルタ隊を伴って。 「木下殿、ただいま戻った」 「ひ、た、只野殿」 藤吉郎はビビりまくって俺が声を掛けたら数センチ跳ね上がった。 「今のうちにゆるりと撤退をしましょう」 「某が知る撤退戦じゃないだぎゃ…」 流石に朝倉は損害を出しすぎたのか追って来る気配は無い。 俺の軍と藤吉郎の軍は隊列をちゃんとして下がって行った。 殿は俺とスパルタ隊で受け持つ事にした。 この時、仁は知らなかったが朝倉義景は自軍のあまりの損害にめまいを起こし追撃を諦めたのであった。 そんな事を露知らず只野軍と木下軍は無事に京へとたどり着いた。 スパルタ隊で軽傷をおった者が何人かいるだけの大成功の殿であった。 この時の信長は自分の衣服が汚れるのも構わずに真っ赤に染まった仁を抱き締めた。 「義弟、良くぞ戻った」 「義兄、無事に戻りましたよ」 この時の信長はこう振り返る。 「恐るべきは熊よ」
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