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浅井討伐
義兄が朝倉を破り越前を平定したとの連絡が入った。
そのまま返す刀で浅井を攻めるとの手紙に書いてあった。
「ふむ、軍を出すぞ」
史実では浅井長政は小谷城で死ぬ事になる。
義兄は身内には甘く、領地を安堵するから降れと散々、手紙に書いて送って居るのにだ。
まあ俺も思う所があって今回は浅井攻めに参加の旨を手紙に書いて送った。
そして、織田の本陣に来た。
義兄が一人、小谷城を眺めて居る。
「熊か」
振り向きもせずに義兄、信長が言う。
「はい、もう一人の義兄を叱りに来ました」
俺が信長にそう答える。
「ふっ、そうか」
短く信長は答える。
確か虎口を秀吉が攻めて浅井討伐に大きく貢献したよな?
ならば俺は正面から攻めるかな?
この頃には木下藤吉郎改め、羽柴秀吉と名乗っている。
そして一乗谷攻めが始まった。
俺は今回は家臣が止めるのも聞かずに小谷城の門の前に居た。
その門の前に立ち降り注ぐ弓矢を無視して正面から思いっきり門を殴る!
ドゴンッ!と音がして一乗谷の門が大きくへこむ。
更にもう一発!
ドゴンッ!
大きく門がへこむ。
「おらぁっ!」
ドゴンッ!メコッ!
三度目の攻撃で門の裏側のかんぬきが破壊されて小谷城の門が開く。
「大将は本当に人か?鬼と思われても俺は納得するぜ」
可児才蔵が思わず声に出すのを尻目に俺は門を強引に開いて小谷城に侵入する。
此処からは時間の勝負だ。
俺は迫り来る城兵を思いっきりぶっ飛ばして城の中へと素早く侵入して行く。
二の輪を飛び越えて更に走る!
回りは全て敵だから、俺は青龍偃月刀で敵兵は全てはぶっ飛ばす!
「邪魔だっ!」
城兵をぶっ飛ばしながら俺は走る。
曲輪をジャンプで飛び越えて更に走る!
あちこちをショートカットしながら浅井長政が居る場所へと俺は走る。
バンッ!と開いた襖には浅井長政とお市の方とその子供達が最後の別れを済ませてる場面かな?
俺はドカドカと雰囲気をガン無視して浅井長政に迫る。
「只野…」
青龍偃月刀で峰打ちして浅井長政を物理的に黙らせ、気絶した浅井長政を担ぐ。
「お久しぶりです姉上。もう一人の義兄である浅井長政を捕らえに来ました」
「は、はい」
いきなりの展開にお市の方は着いて行けないようだ。
「さあ、城を出ますぞ」
「は、はい」
俺は浅井長政を担いで、お市の方を伴って堂々と城を出た。
浅井久政?知らんな。
俺はそのまま義兄の元へ長政を連れて行き、ポイッと長政を放った。
勿論、手足は封じて居るがな。
浅井長政が目を覚ます。目の前には織田信長、硬直しているようだ。
信長の顔が長政を見て段々と歪んで行く。
「長政、長政あぁぁっ!!」
信長は怒りが頂点に達したのか、思わず長政の首を絞めに掛かる。
それを羽交い締めにして俺は義兄を止める。
「落ち着いて義兄!先ずは長政殿の話を聞きましょうよ!」
信長はそれでも長政の首を絞めようともがくが暫くそのまま羽交い締めにしたら、ようやく落ち着いたようだ。
「何故、我を裏切った長政あぁぁっ!!」
訂正、まだ落ち着くのに時間が掛かるようだ。
「勝ちたかった…」
「うん?」
「義兄上には天下不武を目指す目標があった。共に天下を目指そうと言ってくれた時には心から嬉しかった。
しかし、気づいてしまったのだ。私には何も無い!天下を目指す義兄上、それを巧みに補佐する義弟、只野殿。
気づいたのだ私には何も無いではないかと!故に勝ちたかった!義兄上に浅井長政、此処にあり!と…」
浅井長政の魂の慟哭を聞いて信長は、どう思ったのか。
少なくとも信長は先程の怒りは収まったようだ。
「戯けめ、そのような事をしなくとも長政は我の心にしっかりと刻まれておるわ」
信長は優しく長政の肩に手を置く。
何か空気が既にハッピーエンドの空気になって居るな。
俺は長政にいきなりドロップキックを顔面にお見舞いする。
「どうぉ!」
吹っ飛んで行く長政をそのまま追いかけて俺は長政の首根っこを掴む。
「何、終わったみたいな空気を出して居るんだよ」
「く、熊」
思わず助け船を出そうとする信長を俺は手で制す。
「今回の戦いでもそうだが、お前が身勝手に義兄を裏切り、散々朝倉と組んで好き勝手にやったツケは残ってるんだよ。義兄が許しても俺は許さんね。だいたいお前は俺が来なかったら死ぬ積もりだっただろう?」
長政がグッと言葉に詰まる。
「死んで全部がチャラになるとか思うなよ!てめえは生きて償わければ成らないんだよ!」
「で、では私はどうすれば良いのだ?」
長政が俺に質問して来る。
「俺が知るか!先ずはお市の方に謝るくらいしろ!義兄、浅井の領地は当然、没収ですよね?」
「あ、ああ」
「良しじゃあ、お前の性根を入れ替える為に只野家預かりとする。
心配するな家臣団とお市の方と子供達が食って行く位の余裕はうちにはある。俺がお前を立派なソルジャーに仕立て上げてやるよ」
「すまん、熊よ頼む」
信長も思う所が有るのか、俺に頭を下げてお願いして来る。
「任せておいて下さい。立派なソルジャーにして見せます」
「その、そるじゃあとやらは良く分からぬが長政を宜しく頼む」
こうして浅井長政は家臣団丸ごと只野家預かりとなり浅井領は一旦は、織田家預かりとなり長政の戦功次第では、再び戦国大名に返り咲き出来るようにした。
お市の方はうちの犬と仲良く育児談義をして居る。
そこに何故か艶の方が居る。
艶の方あぁ!?
「何故、貴女が此処に!?」
艶の方がもじもじとしながらも答える。
「信長様にお願いして、只野様の側室に成れるように取り計らって貰いました。信長様からの手紙も此処に」
そう言って艶の方が信長からの手紙を俺に渡して来る。
義兄からの手紙はこう書いて合った。
「すまん!」
いや、すまん!じゃ、ねえよ!。
どうやら信長でも艶の方の暴走を止められ無かったようだ。
いや、織田家との繋がりをより強固にしようと義兄は考えたかも知れん。
それ位は、あの義兄はやるだろう。
「兎に角、宜しくお願いしますね」
艶の方がにっこりと微笑む。
うむ、人妻の色香が漂うな。今回ばかりは光秀も雪斎も半蔵も丹波も止めに入らない。
何せ、織田家正式の側室の紹介だ。
今さら艶の方を追い出す訳には行かない。そんな事をすれば織田家からのもう抗議が入るだろう。
そう、後の祭である。
犬も別に反対はしない。正式に側室となった艶の方に対して家臣団からの反対も無い。
寧ろ次の子を作れと無言のプレッシャーを感じる。
まあ時代が時代だからな。
跡継ぎや姫は沢山居た方が良いのだろうな。
こうして二度目の盛大な結婚式を行い初夜へとなった。
まあ夜のほうはゲフンゲフンッ!と言って置こう。
出来れば、これ以上は嫁は増やしたくないな。
今日は伊勢の町にお忍びできゃばくらに行くか。
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