関東大乱戦

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関東大乱戦

北条家が甲斐に侵入! 武田信玄と太原雪斎が現在迎え討ってます! との報告が入って来た。 甲斐を平定してから、もうすぐ三年になると思った所に北条が軍を起こして甲斐に侵入してきた。 「待ちきれなかったか北条」 俺は伊勢の政務室から飛び出す。 直ぐに青い外套を着て、青龍偃月刀を引っ付かんで飛び出す。 「殿!お供を!」 「後で来い!俺は先に甲斐に行く!三成!軍を編成せよ!行くぞ才蔵、直澄!」 局地戦使用の可児才蔵と真柄直澄を連れて俺は城を飛びだす。 二人は常日頃から甲冑を着けて居るので直ぐに動けるからだ。 「ふう、北条は退いたか」 「そのようですな」 「やはり鉄砲は只野家にとっては最大の武器なのじゃな。武田が負ける訳よ」 「そのようですな」 「ふん、御主が生きて居ると知って居たら駿河は攻めなかった」 武田信玄は雪斎にそう言うと、雪斎はニヤリと笑った。 北条は武田信玄と太原雪斎によっての徹底した鉄砲戦術によって大きな被害を出しながら撤退した。 そして、二人は撤退した北条軍を追撃する事はしなかった。 「まあ、地黄八幡が出てきたら厄介じゃからな」 信玄は一人呟く。 北条の武の象徴、地黄八幡こと北条綱成が出てきたら逆撃に会う事を信玄は警戒して追撃はしなかった。 「まあ、後は大殿次第じゃな」 信玄は関東に戦乱の嵐の予感を見出だす。 その後、追い付いて来た大軍を引き連れて俺は甲斐に入った。既に北条は軍を退いたとの連絡を受けて居る。 だが、やられっぱなしは俺の性に合わない。 やられたらやり返す、倍返しだ。 評定の間に行くと武田信玄と太原雪斎が居る。 所で武田信玄だが、胃癌を患って居たので変若水とサクッと治した。 めんどいからな。 胃の中身を切り取るのはね。 お陰で黒髪で艶々した武田信玄になったが俺に一層の忠誠を誓ってくれた。 「皆、楽にしてくれ」 思い思いに武田の元家臣達が頭を上げる。 「信玄、雪斎よ。良く北条を追い返してくれた」 「はっ」 「は」 二人は短くそう返す。 「しかし北条か、どうするかな?」 北条がちょっかいを掛けて来なければ、まだ関東としての雄を保てたのにな。 俺は暫し考えて直ぐに決断する。 「北条を攻める」 「「ははっ!」」 雪斎と信玄が応える。 この出来事が切っ掛けで佐竹、蘆名、結城等の勢力が北条と合流する。 俺は駿河からの兵力も投入して五万の軍勢を揃えた。 対する対只野包囲網は八万もの大軍が関東平野で只野軍と睨み会う事になった。 俺は兵を五段に並べて八万の大軍と睨み会う。 佐竹、蘆名は只野家の力を舐めてるようだ。 しきりと挑発を繰り返す。 挑発ばかりなので鉄砲で応戦する。 うむ、流石只野式歩兵銃だ。 あっという間に蘆名と佐竹の軍をガリガリと削って行く。 そこへ空かさず北条の軍がカバーに入るが只野式歩兵銃によって北条軍も大きく数を減らす結果となった。 蘆名が三千の兵を失い、佐竹が五千の兵を失い北条が八千の兵を失った。 やっぱ火力は必要だな。 信玄と雪斎の指揮の効果も有るだろう。 「見てみよ馬場よ。あの北条が紙のようにバタバタと倒れて行くぞ」 「左様で、大殿からは決して無理攻めをするなと仰せつけられて居ります」 「心配ない、寧ろ無理攻めする要素が無いわ」 「北条は籠りますかね」 馬場信春が白湯を飲む。 「まあ、北条だしのこのまま行けば確実に閉じ籠る」 「それは厄介ですな」 信玄も謙信も小田原を攻めたが落とせた事はなかった。 今回も北条が不利と見なせば直ぐに城に籠るだろうと二人は予想する。 その予想は悪い意味で当たった。佐竹と蘆名に結城軍を置いて小田原に籠ったのだ。 佐竹と蘆名と結城は直ぐに本拠に帰って行った。 後は小田原に残る北条だけである。 その時、玉縄城から北条綱成が軍を率いて小田原に入った。 此れでますます小田原の攻略が遠退くかと思ったが、只野は次の手を考えて居た。 大砲部隊を集めて小田原の城門に打撃を与えて行く。更に良く燃える油を使って城を少しずつ焼いて行くので会った。 一方の蘆名と佐竹、結城は只野家の別動隊にそれぞれ追い込まれ居た。 結城は蒲生に、佐竹は三成、高虎コンビに蘆名は石川数正、大谷吉継コンビにそれぞれ城を包囲されて落城寸前まで追い込まれて居た。 徹底交戦の構えを見せたのは結城家で蒲生賢秀は徹底したアウトレンジからの攻撃で結城の城をガリガリと削り結城家はそのまま、すりつぶされて行く。 一方の佐竹は城が包囲されると直ぐに降伏と帰順の使者を三成に寄越し、蘆名も同様に降伏の使者を石川数正へと届けた。 只野は降伏した両大名を徹底して優遇した。 只野家に付いたら得をすると言う心を諸侯に見せつける為であった。 後の東北の魔境を攻める為の布石で有る。 一方の小田原だが、北条綱成だけで無く北条氏繁も奮戦して一進一退の攻防へと変わって居た。 「やっぱり城が大きいとてこずるな」 「別動隊が戻れば火力で圧倒出来ましょう」 松永久秀がコーヒーを入れながら答える。 「まあ、明日には更に援軍が来るから北条はじっくりと足並みを揃えて潰して行かないとな」 俺は松永の入れたコーヒーを飲みながら答える。 「既に門は落ちました。此処は焦らずに大砲部隊と足並みを揃えて攻めるのが吉かと」 「そうだな、そのように手配しよう」 地黄八幡が居るから更に攻めにくくなったからな焦らずにゆっくりとじわじわと攻めてやるよ。 一方の北条は毎日、評定の間で会議を行って居た。 只野家に降伏する派閥と徹底交戦の派閥だ。どちらも一方も譲らずに時間だけをイタズラに消費して行く。 北条綱成が居たら一括入れたい所だろうが当の北条綱成は連日の只野軍の猛攻を防ぐ為に前線に出ていた。 両派閥の足の引っ張りあいで只野家は更に有利に動いて行く。 現状動いて居るのは北条綱成と北条氏繁の親子二人で率いる兵は自前の兵だからだ。 翌日、只野軍に更なる援軍が来て降伏派閥は更に勢いを増すが、そもそも仁が降伏を受けると考えて居るのか、其処までは降伏派閥は考えて居なかった。 一方の徹底交戦の派閥は今までのやり方で武田と上杉を退けたのを理由に頑として受け付けない。 此方は北条氏政の首がかかっているだけに氏政も必死だからだ。 その時、小田原が揺れた。 只野軍の大砲が集中して撃たれたからだ。撃たれた箇所は大きなダメージを受けてグラグラと揺れた。 その余波が評定の間まで来たのだ。 両派閥の動揺は大きく、会議は更に混沌になって行く。 「とまあ、こんな感じだろ」 俺は松永久秀に説明する。 「成る程、両派閥が足を引っ張り会い結局は北条綱成の働きで何とか小田原は持って居るとの事ですな?」 「そうそう」 俺は指示を簡潔に出す。 大砲にて曲輪を撃ちつつ鉄砲隊で、北条軍を近づけさせるなと… 現状は堀尾吉春と山内一豊の働きで此方が有利に進んで居る。まあ敵を近づけさせない戦術だからな。 俺は前線に顔を出す。 「どうだ様子は?」 山内一豊がやって来て説明をする。 「はっ、大殿の言う通りに北条軍に対して徹底した鉄砲戦術で現在は此方に有利に働いてます!」 「鉄砲と言えば向こうも持って居るんじゃ?」 「旧式の鉄砲ゆえ此方の防具を貫通するような損傷は有りません!」 「ご苦労、引き続き頼む」 「はっ!」 俺は次に堀尾吉春の元へ向かう。 「此れは大殿、大した出迎えも出来ませぬが…」 「いや、良いよ。どうだ此方の首尾は?」 「はい、新式の鉄砲のお陰で此方の被害は軽微で敵の被害はかなりの者です引き続き怪我人の量産に力を入れます」 うむ、仏の茂助と言われる前の吉春は負傷者を大量に作って敵の兵糧を減らすエグい作戦を取ってるな。 仏と言われるようになるのは何時だろうか? とまあ現状は北条軍が近づいて来たら鉄砲で出迎えて、小田原の城にはガンガン大砲を撃って城を削って居る最中だ。 北条が根を上げるのが先か只野軍が小田原を攻略するのが先がチキンレースになってるな。 まあ、この際だからどちらかでも良い。 俺は本陣へと戻った。 本陣へと戻った所で内応の紙が届いた。 それをそのまま、松中久秀に渡すと久秀はニヤリと笑い言う。 「こう言う搦め手はひさびさに腕が成りますな」 此方の方は久秀に任せて置こうか。 翌日、内応の手紙を利用して小田原の城を攻めて行く。 途中で内応があった事を匂わせての進軍だ。 此れに慌てたのは北条の徹底交戦派だ。この中にも裏切り者がと疑心暗鬼を深めて行く。 その疑心暗鬼を払拭するべく北条綱成は無理をする事になる。 被害を覚悟で山内一豊の部隊に攻撃を仕掛けて来た!しかし、其処へは俺がたまたま来ていた。 「!?」 「よう、あんたが北条綱成か」 何で此処に只野軍の総大将が!? 北条綱成は暫し混乱する。 「貴殿が只野仁か?」 「そうだ」 「ならば話が早い、此処で貴殿を討ち取れば北条の勝ちだ!」 言うや否や、北条綱成が槍を俺に向けて来た。 俺は北条綱成の槍を青の外套に絡め取るとそのまま北条綱成の腕をゴキリとへし折った。 「ぬう!凄まじい武だ!」 片手だけになっても北条綱成の闘志は衰えない。 しかし、側に居た北条氏繁が背中から北条綱成を羽交い締めにした。 「何をする氏繁!放せ!」 「なりませぬ!此処で父を失う事は北条の負けへと繋がりまする!」 そう言われながら、北条綱成は強引に戦場から消えて行った。 「何にしろ北条の重要人物が戦場から退いた。俺達も攻めるぞ!」 「「「「「おお~!!」」」」」 北条綱成が負傷してロクな将が居なくなったお陰で曲輪の制圧を完了した。 後は第二曲輪と本丸を残すだけとなった。 此処で結城討伐を終えた蒲生賢秀が加わる。更に三成と高虎の軍が加わり遅れて石川数正と大谷吉継の軍が加わる。 降伏した大名達の処分は一先ず保留、更に軍は出させない。今の只野軍と連携が取れないからだ攻城戦は激しさを増して行く。 軍が全て合流した只野軍の総兵数は八万、完全に逆転をした事になった。 容赦無く城攻めが行われる。 「突破しました!残すは本丸のみです!」 伝令の兵が伝えて来る。 小田原攻めは佳境を向かえた。 此処に来て北条は降伏派が一気に盛り返して降伏を行うと主張する。 徹底交戦派は講和等とたわけた事をのたまわったが北条綱成の負傷の余波が大きく降伏へと成った。 んで降伏の使者を見ているのだが、使者は木っ端の使者で直接来いとの事だ。 「ん~舐められてる?」 「名門の誇りが邪魔して居るのでしょう」 信玄が答える。 「しゃあない乗り込むか」 俺は青龍偃月刀を担いで何時もの格好に可児才蔵と真柄直澄を連れて数十の兵を連れて小田原の本丸へと入って行った。 上座には北条氏政がでんと座って待って居た。 「良く来た」 「降伏するんだよな?」 「勿論、降伏する。当然領地は安堵だろうな?」 「は?」 何を行って居るんだコイツは? 「勿論、ただとは言わん。伊豆の譲渡で良かろう」 「は?」 「我等は名門北条であるぞ。降伏を受け入れただけでも見事な物よ」 北条氏政が得意気にニヤリと笑う。 いやぁ、北条氏政はこんな奴かぁ… 俺は青龍偃月刀を抜くと上座に座る北条氏政に一気に接近する。 いきなりの事だから北条の家臣達は反応出来ない。 一気に袈裟斬りで北条氏政を切り捨てた。 「てめえ等、何を勘違いしてやがる。負けたのに本領安堵だと?名門だと?舐めた事を行ってんじゃねえぞ。 負けたら全部失うんだよ。それが分からなければ、もう一戦やってもいいんだぞ!」 俺はどかりとに座る。 北条の家臣達は全員平伏して今度こそ本当に降伏した。 コイツ等の意識を改革するのは、かなりの労力を使うだろうな。 まあ俺ん所に合わなければ、出ていって貰えば良いだけだ。 取り敢えず関東の制圧は落ち着いた。 後はこまごました所は俺の配下達に任せれば良いか。 小田原を制圧した只野軍は関東の各所に散って関東の至る所を各将達が攻略を進めて行った。 三ヶ月経つ頃には蘆名、佐竹、結城等の残る豪族を平定して関東をほぼ手中に収めた。 俺は北条の象徴、小田原を棄却して江戸に新たな城を築くと宣言。 伊勢の機能の大部分を江戸に移して新たな政治体制を築く。 此れは後にになって来る。 当然、新たな城下になる江戸に移住を進めて行った。 その中で里見家が降伏してきたので九鬼嘉隆の水軍に組み込んだ。 今では南蛮船を自在に操る九鬼嘉隆の海軍だから、慣れるまでは大変だろうが、まあ頑張って欲しい。 後は魔境東北か… 蝦夷とはもう交易して居るんだけどね。
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