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四国征伐
新年の挨拶に安土城へと赴く。
すると信長はご機嫌で俺に声を掛けた。
「良く来たな義弟、東北を手中に収め日の本の東は義弟が見事に統一した」
織田家の面々に自慢気に言う信長。
「流石は大殿の義弟様だぎゃ!」
ここぞとばかりに秀吉が良いしょする。
おい、毛利攻めはどうした。
柴田勝家は上杉に阻まれて領地をこれ以上拡大出来ない為に苦々しい顔をしている。
「それはそうと義弟よ四国征伐にお前の水軍と軍を出して欲しい。四国攻めの総大将は信孝だ。副将として五郎左を付ける」
そう言うと信孝君が俺に挨拶をして来る。
「ご無沙汰しております叔父上!」
ハキハキと答える所は好感度高いぞ信孝君。
「信孝殿、大きくなられましたな」
「はい!叔父上も壮健そうで何よりです!」
「義弟挨拶はそれくらいにして今日は城に泊まれ」
そう言って信長自ら安土へと俺を案内し、その日は東北征伐の話で大いに盛り上がった。
主に信長が盛り上がった。
それから俺は素早く江戸に帰り兵と海軍を編成する。
一ヶ月後、俺は船に兵を乗せて大阪に向かって船を進めた。
海軍の船の方は俺達が四国の地に足を運んだ後にピストン輸送で四国と大阪を行ったり来たりする算段である。
大阪、本陣にて俺は信孝君に挨拶する。
信長は兵を引き連れて秀吉の毛利攻めに援軍へと赴いて居るとの事。
「叔父上、今回の四国征伐の援軍、感謝致します」
「信孝殿、そんなに畏まらなくても良いよ」
「いえいえ、常勝只野軍を迎えるのです。当然の事ですよ」
うむ、信孝君がキラキラした瞳で俺を見て来る。
「信孝殿、最初が肝心です先鋒は、この只野仁自らが務めます」
「そんな勿体ないです!」
「信孝殿、最初が肝心です。始めに長宗我部軍を叩いて十河を助けねばなりません。速度が必要です」
「叔父上が其処まで言うのであれば…」
「では十河の援軍は丹羽殿にお任せいたす」
「承知しました」
先鋒を俺の軍が務める事になった。
先ずは勝端城から落として行くかね。三好、十河の救援は信孝殿達に任せよう。
船に兵を乗せて四国の地へと俺は進む。
只野軍三万を引き連れて居るが、全部は船に乗らないから最高で三千だ。
故に上陸は俺自ら指揮する。
可児才蔵と真柄直澄の二人は俺の側でスパルタ兵を指揮して貰う。今回の戦は最初が肝心だから一万居るスパルタ兵の内の三千を連れて来た。
このスパルタ兵、何故に数が一万以上行かないかと言うと、兎に角、金を食うからだ。
選りすぐった兵を更にふるいに掛けて選ばれた兵士は食事療法で肉体を魔改造し、更に厳しい修練を積む最終的には鎧を着た敵兵を素手で撲殺出来るようになる。
当然、選ばれた兵だから賃金もぶっちぎりで高い。
今の只野軍は常備兵、十万までは直ぐに動かせる。
その内の一万がスパルタ兵団、別名只野兵団だ。
更にスパルタ兵が戦死したら、遺族に年金を支給するまで厚遇している。(身内が亡くなるまで支給します)
その代わり兎に角、スパルタ兵は強さと鉄の規律が求められる。何せ俺自らが育てて居るからな。
東北の開発が落ち着いたらスパルタ兵を更に五千追加する予定だ。
最終的には三万のスパルタ兵団にする予定だ。
ありとあらゆる戦術を叩き込むスパルタ兵だから海戦も出来るようにしてある。
さてとそろそろ説明は良いかな?勝端城が見えて来たからな。
その海岸の辺りには長宗我部軍、約一万が待ち構えて居る。
ふむ、一両具足か。小早に乗り換えて海岸を目指す。
海岸に向かって進むスパルタ兵に向かって弓矢が放たれる。
ふむ、鉄砲は無いようだな。何せ義兄が金で殆んどの鉄砲を買い上げるからな国友衆の鉄砲とかな。
「マントオオォォッ!」
俺がそう叫ぶと鉄鎖入りのマントをさっと被るスパルタ兵。
スパルタ兵の装備は俺の貸し出し品だ。俺自らが創造の能力で対鉄砲属性や敏捷、筋力アップ等のバフを掛けた魔道具に近い扱いだからだ。
まあ、俺が管理しやすいとも言える。
戦国時代の装備じゃ、スパルタ兵にはキズ一つ付かないだろう。
故に無双出来るスパルタ兵だが、鉄の規律で仲間との連携を密に取るようにしている。
さて、長宗我部から放たれた弓矢で有るが見事に弾かれてスパルタ兵の先鋒五百が俺と共に海岸の近くに降り立つ。
するとすかさず長宗我部の兵が此方に向かって来る。
向かって来る兵は約千。
ふむ、只野軍を舐めてるのかな?
「喰い散らかせ」
俺がそう言うとスパルタ兵が長宗我部の千の兵に襲い掛かる。
あっと言う間に長宗我部軍の千の兵が喰い散らかせるように壊滅へと追い込む。
俺は海岸に陣を引いて後から来る俺の兵が上陸しやすいように行動する。
しかし、長宗我部も四国の雄である。
直ぐに三千の兵を此方に差し向ける。
「六倍の兵力差か」
普通なら此方が殺られるだろうな。普通ならばな。
「方円」
直ぐに俺の言葉に反応して方円の陣が組まれる。
「回転」
スパルタ兵は方円の陣を組んだまま回転をし始め長宗我部の三千に喰らいつく。
竹を割るかの如く回転した方円の陣が長宗我部軍を斬り裂く。
まあ、車懸りの陣の応用だな。
五百のスパルタ兵が長宗我部の一両具足を喰い散らかす。
その間にスパルタ兵が続々と上陸をして行きスパルタ兵三千が揃った。
長宗我部の軍は六千までその兵を減らした。
此処で長宗我部軍が兵を勝端城に向けて退いて行く。
「喰らい付け」
長宗我部軍の最後尾にスパルタ兵が喰らい付く。
長宗我部軍はそのままズルズルとスパルタ兵を引き連れて勝端城へと雪崩れ込んだ。
こうなればこっちの物だ。
「貰うぞ勝端城」
退いて行く長宗我部軍に喰らい付くスパルタ兵。
普通ならば長宗我部軍の居る勝端城は外の軍勢を無視して門を閉ざすべきだった。
何故、門を開けてしまったかと言うと一両具足は元々、農民だ。
いや、力ある農民かな?そもそも戦国時代の農民は強かだ。
自前で鎧や武器を持ってるし、ある程度戦う事が出来る。
彼らの報酬は敵兵の首に及ばず鎧や武器等も報酬になる。
年がら年中、戦をして居る日の本の農民は程度の差さえあれど全員が実は戦闘民族だったのだ。
羊の皮を被った狼とも言う。
実際に村同士の争いで大なれ小なれ戦はして居るのだ。
江戸幕府に入ってから漸く農民が農民に落ち着くのだ。
何せ秀吉が刀狩りを全国に発するくらいだ。
平時には普通の農民で戦になれば戦闘集団へと変身する。
そりゃ織田信長が一向衆を平定するのに10年掛かる訳だ。
戦える農民だもん。
長宗我部の一両具足は更に戦に専門を置いた集団だ。
話を戻すが長宗我部は軍勢を整える為に一両具足に頼り過ぎた。
この戦いで勝端城の長宗我部軍が、退いて居る長宗我部の一両具足の軍を見捨てたら?
農民は強かだ。
より、力ある者の庇護を頼って次々に長宗我部領の農民達が織田に寝返るだろう。
各地で下手したら一揆が起こる可能性も有る。
越中の国を農民の一向衆がぶん盗った例もあるから、大名達はその辺も考慮して国を治めなければならない。
下手に一揆を起こされたら国は荒廃するし、元の領地に戻るのに年単位の時間が掛かる。更には他の力ある大名が襲って来る可能性もなきにしもあらず。
織田や只野家みたいに兵農分離して居る国はあまりないと言うよりは、常備兵は費用が掛かる為に僅かしか居ないと考えた方が良いだろう。
と言う訳で本音は見捨てたかったが、後の事を考えて目の前の一両具足を見捨てる事が出来ないと言うのが正しい見解か。
元々、スパルタ兵が異様に強すぎるのも勝端城が次いでに攻められる要因だ。
常日頃から肉体を鍛え、俺の特性の魔改造料理を食べて(肉、たんぱく質)更には創造の能力を駆使した武具の貸し出しに新兵器の手榴弾。
うん、そりゃ無双出来るわな!
鉄砲効かねえもん。
スパルタ兵は二の丸、三の丸に素早く取り付くと手榴弾を内側に向かって投げ付ける。
ボガンッ!!と音がして無数の長宗我部軍の悲鳴が聞こえる。
己の肉体を駆使して組体操の如く互いに身体を梯子のように使い、二の丸、三の丸へと侵入して行くスパルタ兵。
只野軍は人材を大切にする。バディ制を採用して経験豊かな兵と新兵を組ませる方式だ。
新兵は経験豊かな兵から色々と教えられて戦場での生き方を習い。生き残ったら次の兵へと伝える。
まあ、実際の所。軍勢がぶつかり合うのは本当は稀で互いに貶し合い挑発し合ってぶつかり会ったら、サッと退くのが戦国時代の戦らしいよ。
仮に何千単位の軍勢同士がぶつかって、どちらからの軍勢が千以上の犠牲を出した場合は壊滅と言っても差し支え無いらしい。
まあ、農民の軍勢だから生産力に直結するし減れば減る程、国力が弱くなるからね。
戦国時代の武田軍と上杉軍が異様に強かったのは単純に兵が常に腹を空かして居たからだろうねぇ。
乱暴狼藉上等、略奪上等、人拐い上等の軍だもん。
川中島の合戦のぶつかり合いで予想以上の兵の損耗をした上杉軍に武田軍は元の軍勢を立て直すのに年単位の時間を要したらしいし。
実際の戦は数十人の犠牲が出れば決着となる。
異常に損耗した武田軍や上杉軍が特別なだけで大軍で包囲殲滅作戦を要した織田家が異常なだけなんだよなぁ。
流石は戦国覇王と言われるだけはある。
それに並ぶ只野軍も充分に異常何だろうね。
今回の戦、只野軍の損耗はゼロ。
軽傷者数人と落ち着いて、勝端城を落としてしまった。
さてと降伏した長宗我部軍の数が五千、城に居た凡そ八百の兵と合わせて五千八百の捕虜を手に入れたが、捕虜は居るだけでうちの兵糧を食べるので将以外は解放した。
今回で只野軍はヤバい軍団だと分からせたので、そのヤバさは生き残った一両具足が広めてくれるだろう。
後は死体を纏めて荼毘に伏して、敵兵の武具を回収する。
回収した武具を俺のアイテムボックス内で分解して鉄のインゴットや元の材料に創造の能力で戻して行く。
此れで長宗我部の軍事力はだいぶ落ちた所だろう。
現在、船や小早を使い織田軍と只野軍が続々と上陸している。
俺は勝端城で織田信孝君を出迎えるので会った。
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