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毛利征伐
「義弟よ、良く来たな!四国征伐見事だったぞ。信孝に華をよくぞ持たせた!」
信長は上機嫌で有る。
「暫くはゆっくり出来ると思ったのですがね」
俺はチクリと嫌みを信長に言ったが、当の信長はどこ吹く風だ。
「使える者は使わんとな権六は呼べぬし」
柴田勝家は佐々成政と前田利家と共に北陸を治めて居る。
対上杉の先鋒として。
「義兄本当に人使いが荒いですな」
「うむ、所で長政は連れて来て居るか?」
「はい、もうすぐで補給の物資と共に合流する筈ですよ」
「うむ、今回は長政に華を持たせよ。伊予の国を能える故にな」
ごめん河野氏、貴方の国は風前の灯でした。
「分かりました。毛利は手強いですか?」
「うむ、思ったよりも手強い。流石は毛利の両川と言われるだけはある」
吉川元春と小早川隆景ですね。
羽柴秀吉軍を先鋒にして、がっぷりと戦い会う両陣営に小早川隆景と吉川元春が参戦してきて戦の雲行きが怪しくなって来たようだ。
宇喜田家が信長に降伏して備中と美作の領地を安堵されると備前にて羽柴秀吉と共に毛利軍へ対峙する事になる。
「義弟に宇喜田直家を紹介しよう」
信長が使いを走らせると一人の鎧兜に身を包んだ将が現れる。
「宇喜田直家です四国での戦聞いております。あの長宗我部を圧倒したとか…」
うむ、この人は白竜にクリソツだな。白竜さんと呼ぼう。
「宇喜田殿、貴殿は病を患って無いか?」
「何故その事を?」
そりゃウィ〇ぺディアで知ってるからだよとは言えない。
「貴殿の顔が優れて無いように見えてな。どれ、この薬を飲むと良い直ぐに良くなる筈だ」
俺は懐に手を入れてエリクサーを創造する。
変若水はさすがに信長にバレるからな。
懐からエリクサーを取り出して直家に渡す。
「この薬が貴殿の病の特効薬だ。貴殿の病の名は尻はすだ」
「何と!不二の病がこの薬で治ると!?」
「左様」
俺は自信満々に答える。
尻はすか、悪性の腫瘍だからガンには違い無いけど大腸がんかな?
「直家よ義弟を信じよ。我は駒を救って貰った恩がある」
マッスル体操のお姉さんですね。
「おお…有り難き幸せ…只野殿に娘が居たら是非に息子と婚約を進める所ですが…」
「今の所は息子二人ですね。その二人も義兄の娘との婚約が決まっております」
「残念です」
しょんぼりと宇喜田直家が言う。
「義弟よ、もっと子を作れ。犬や艶に遠慮するな側室を持て」
「そのような暇を早く下さいよ」
「ははははは!」
信長に笑って誤魔化された。
まあ俺も三十代前半、信長は四十代後半で更に本能寺の変を回避したからな。長生きはするだろう。
今も精力的に子供を作ってるしな信長は。
まあ、宇喜田直家もこの先の寿命は分からないけど宇喜田騒動は回避出来たと思いたい。
それまで宇喜田直家が生きていればの話なのだが。
因みに今は1576年ね。
だいぶ歴史を改変してるな俺は、そんな事を考えて居ると直家はガバッと顔を上げる。
「只野殿と何とか縁を繋ぎたい!何か望みは有りませんか?」
あんた暗殺しまくった梟雄だろう?何故にそんなに暑くなってるんだ?
「俺と縁を作りたいと?では明石全登殿を家臣に貰えませんかね?」
「そのような事であれば喜んで!」
よっしゃ!関ヶ原の名将をゲット!ごっつぁんです!!
直ぐに明石全登が呼び出される。
「殿、お呼びで?」
「うむ、全登よ只野家との縁を繋ぐ為に今日より只野殿に仕えよ」
「…分かりました」
「宜しくな明石全登」
「宜しくお願いします」
よし、キリスト教に入る前の明石全登をゲットだぜ。
「では明石全登の歓迎の祝いの宴をしましょう」
「そんな、某のような者に勿体ないです」
「義弟が宴をするのか、此れは楽しみだ。我も参加するぞ」
「私も参加します」
う~んでは立食式のバーベキューにするか。
酒はまだまだ有るしな。
その日は只野家に新たに加わった明石全登の歓迎会で幕を卸した。
余興で俺が蝋人形の〇を歌ったら信長から「義弟、それは無いわ」と言われた。ちくしょうおぉ!
翌日、俺の陣にて明石全登を案内させていると宇喜田直家が訪ねて来た。
「只野殿、昨日は楽しゅうござった」
「宇喜田殿は酒に強いですね」
「いやぁ、余りにも旨い酒故に深酒をしてしまいました」
「本日はどのような御用で?」
「毛利の両川に苦労している羽柴殿を助ける為にそろそろ備前に戻ります」
「戦を抜けて来たのですか?」
「心配ご無用。弟の忠家に任せております」
そう言うと宇喜田直家はカラカラと笑った。
宇喜田直家は毛利と激戦中の備前へと帰って行った。
明石全登は只野軍の装備を見て目を回して居るようだ。
まあ数世紀は先に進んだ技術だからな。
一週間後、無事に補給の物資を届けに来た浅井長政と増援の兵五千を加えて只野軍、スパルタ兵三千、騎馬隊千鉄砲隊二万、歩兵隊一万一千となった。
「一万一千の歩兵の指揮は長政に託す」
「はっ!有り難き幸せ!」
俺は長政の肩に手を置く。
「此れは俺の一人事何だが、此度の戦で長政が勲功を立てたら、伊予の国を義兄が与えるらしい」
「何と…この浅井長政、必ず功を立てて見せます」
俺は優しく長政に語り掛ける。
「功を焦るなよ?只野軍の強さは長政も知ってるだろう?」
「はっ、存分に」
「ま、俺たちの力を毛利の両川に見せてやろうぜ義兄」
「はっ!」
この奇妙な関係ももうすぐ終わりだと感慨深いな。
こうして、浅井長政と明石全登を加えた只野軍は西へと向かう。
毛利との激戦地へと向かって。
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