九州大乱戦!

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九州大乱戦!

九州の大友宗麟が織田家に助けを求めて使者を出した。 島津家が大友家に大攻勢を掛けて来たらしい。 九州には肥後の熊と言われる龍造寺が居るのだが前年に島津家久によって討ち取られて居て、大友家を攻めて九州を急ピッチで統一して織田家に対抗しようとしている。 織田信長は大友家を庇護し、九州征伐を決意。 急先鋒に俺が選ばれる事になった。 史実よりもだいぶ早い九州征伐と相成った。 「良く来たな義弟」 「言われた通りに参上しましたよ」 安土城の評定の間にて俺は信長と対面する。 「今回の九州征伐は熊を別道隊とする。好きに暴れよ」 「義兄、大友家の人事に多少、口出ししても構いませんか?」 「ふむ、何か考えが有るのか?」 俺は大友家の現状と武将達の話をする。 「くはっ!流石は熊よ良かろう!我からも文を出す。好きにやれ!」 義兄からのお墨付きも貰えたし、俺も動きますかね。 九州先鋒軍、先鋒蒲生氏郷に決定。 「氏郷、お前ならやれるだろう。 俺のスパルタ兵を一万預ける。スパルタ兵全軍の半分だ」 そう、俺は東北と蝦夷の開発をしながらスパルタ兵の要請に力を注いで居た。 お陰で二万ものスパルタ兵を揃える事に成功した。 「大殿!此度の抜擢、この氏郷感謝しかありません!」 グイグイと来る氏郷に俺は少し引き気味で答える。 「それと俺が自ら鍛えた武具をお前に与える」 「うほおぉぉっ!大殿自らの武具!我が家の家宝と致します!」 大丈夫かな?この子、少しどころか、かなり頭大丈夫かと思ってしまう。 「島津は強いぞ?氏郷、島津を倒せるか?」 すると氏郷はヒュパッ!と俺に敬礼をし短く答える。 「大殿の命令と有らば島津を見事、磨り潰してご覧に入れましょう」 武人の顔になった氏郷を見て俺はうむと頷く。 氏郷なら島津を討ち破って、大友家を救ってくれるだろう。 確信に近い物を俺は抱いた。 氏郷が乗り込む船を見送って俺はふらりと一人、九州へと向かう。 今回は供を付けない一人旅だ。 俺の書き置きを見て三成は大層腹を立てて机をガンッ!と叩いたそうな。 「大殿は何時も何時も我等を振り回す!」 と、嘆いて居たそうな… 九州の地に置いて立花城を守る立花道雪は病を押して戦場にて兵の指揮をとって居た。 立花道雪は若い頃に雷で下半身不随に陥る。それからは戦場では常に輿に乗り戦場で指揮をとって来た。 「進め!島津を此処から先には行かせるな!」 立花軍は大将で有る立花道雪が戦場から撤退しないので島津軍と互角の戦を行って来たが「ごふっ!」立花道雪はこの時、吐血して指揮を乱してしまった。 指揮が乱れた瞬間を狙って島津軍が猛然と攻め始める。 此れには堪らず立花道雪は立花軍を立花城まで兵を退く事になってしまった。 「む、無念」 立花道雪は自室にて後悔をする。 あの時、吐血をしなければ此処まで戦線が押し込まれる事はなかったと一人後悔する。 義息子で立花宗茂は城兵を上手く使い今は島津から城を守って居るが何時まで持つか分からなかった。 其処に一人の男が現れる迄は… その戦場に一人の男が現れた事により、立花軍は見事に盛り返すのであった。 その日の夜、一人の男が立花道雪の寝室へと入る。 そして何事か囁いて立花道雪に何かを飲ませる。 その何かを飲んだ瞬間に、ガバリと立花道雪は起き上がった。 下半身不随だった筈なのに、バリバリに動き回って居る。 やがて立花道雪は城の天守に立つと刀を抜いて叫んだ。 「儂の春ふたたびっ!」 その肌も髪も艶々として完全復活した立花道雪が雄叫びを上げる。 男はそれを見届けるとふらりとまた何処かへ出掛けて行った。 岩屋城にて激しい戦いが行われて居た。岩屋城を守る将は高橋紹運。 立花宗茂の実の父である。 猛将が揃って居る大友家の中で立花道雪に次ぐ猛将と言われた高橋紹運は八百の兵と共に万を越える島津兵が猛然と攻める岩屋城で守りきって居た。 既に島津から何度も降伏の使者が訪れて居るが紹運は降伏は出来ぬと使者を丁寧に返して居た。 其処へふらりと一人の男が現れる。 男は高橋紹運に面会をすると、高橋紹運は男の頼みを聞いて岩屋城を開城し、八百の兵と共にスルスルと退いて行った。 高橋紹運の向かった先は立花城、一人の男と共に立花城を攻める島津軍に猛然と襲い掛かると、あっと言う間に立花城までの道が開けた。 高橋紹運は息子の立花宗茂と再開し、硬い握手を結ぶと城主の立花道雪に面会をした。 その時に完全復活した立花道雪を見て、ふらりと現れた男の言葉が正しいと悟り、以後は九州征伐の先鋒が来るまで立花城にて、島津軍と激戦を行う事となる。 武田信玄に一度は会いたいと言われた武将、立花道雪。 豊臣秀吉に西国一の武者と言われた立花宗茂。 万を超える島津軍に多大なる犠牲を与えて八百の兵と玉砕した武将、高橋紹運。 この三名が立花城に集結したおかげで島津は苦戦を強いられてしまう事になる。 そして蒲生氏郷はと言うと… 臼杵城へと降り立った。 氏郷は重郷と共に大友宗麟に先ず面会をした。 「よう来られた。この大友宗麟、感謝致す」 「大友殿、早速ですがある人物を呼び出して欲しい」 「分かりました。呼び出す者の名前を教えて頂けますかな?」 氏郷は呼び出す者の名前を言う。 「それは…いやしかし…」 大友宗麟が参ったとばかりに頭を上げる。 其処へ氏郷は仁から預かった手紙を読ませると、大友宗麟の顔は真っ青に染まり「直ぐに呼んで参ります!」と言って使者を飛ばした。 呼び出された者の名前は妙林尼、女性であった。 この妙林尼、実は史実では島津軍を相手に勇敢に戦った尼であった。 さしずめ九州版、寿桂尼と言った所か。 始め、妙林尼の住む城に島津軍が攻めいって来た時には城主である夫は死んでおり、息子も戦場へと向かって居た。 其処で妙林尼が島津軍を相手に戦う事になった。 始め妙林尼は民達を保護し鉄砲で武装させたりした。 その後に攻めいって来た島津軍を策を用いて見事に破ると何度もその後は島津軍を相手に見事な守戦で城を守りきる。 一時は降伏して、その色香で島津の将兵達を惑わす。そして、島津軍が九州征伐で退く事になると城から一気に討って出て散々に島津軍を討ち破る事になる。 その活躍振りに当時の豊臣秀吉が妙林尼に絶賛の手紙を送ったとかどうとか… 召し出された妙林尼は仁からの手紙を先ずは見てから、その後にコロコロと笑い出す。 「ああ、只野様に嫁ぎたいくらいです!」 と後に妙林尼は語った。 手紙の内容は、妙林尼に大友軍の指揮を全面的に任せる。 この命令に異を唱えるならば、只野家と織田家が敵になると知れと書かれて居た。 実際に織田家と只野家は大友家抜きで九州征伐をしよう思えば可能であった。 只野家の最新式の兵器、織田家の威光を持ってすれば大友家が敵に回っても充分に戦えるだけの力はあった。 妙林尼が大友軍の指揮をする事になった数日後、四国から援軍がやって来た。 港には只野軍のスパルタ兵が続々と降りる中で、四国の雄、長宗我部元親と長宗我部信親が三千の兵を伴って現れる。 続いて十河存保、三好康長が千五百の兵を引き連れて現れた。 「初めまして、大殿より全軍の指揮を任された蒲生氏郷です」 若輩者の氏郷は丁寧に頭を長宗我部元親と十河存保、三好康長に下げる。 「此れは此れは、某は長宗我部元親です。此方は息子の信親です」 蒲生氏郷と長宗我部信親の目が互いに合うとお互いに握手をした。 どうやら、互いに気に入ったようだ。 「某は十河存保と申します。此方は三好康長です」 「宜しくお願い致す」 氏郷は四人を案内しながら言う。 「早速で悪いのですが軍議を行いたいのですが、構いませんか?」 四人とも頷き、臼杵城へと向かって歩いて行った。
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