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俺は数が少なくなった柴田軍と大友軍、龍造寺軍に織田軍を船に乗せて日の本に送り返した。
此処からは難儀するな。文字通り朝鮮の民を丸ごと敵に回したからな。
日の本に戻った柴田勝家は信長に呼び出された。
「権六よ、珍しくしくじったな」
「はっ、申し訳ありません」
「此度の一件は貴様の長年の成果によって不問に致す。領地に帰り軍を立て直せ」
そう言うと信長は評定の間を去って行った。
信雄は平伏したまま動かない。
其処へドスドスドスと足音が響き渡る。ドスンと音がして信雄は思わず顔を上げた。
「誰が顔を上げろと言った!」
信長は信雄の顔に蹴りを見舞う。
「父上!聞いて下され!」
「喧しい!折角、箔を付けようと我が動いたのに、その結果がこの様とはな!」
信長の怒りは収まらない。
朝鮮での信雄の行いに怒りがMAXであった。
「信雄!貴様の顔など暫く見とうない!領地に帰り大人しくしておれ!」
「…はっ」
「分かったら、とっとと帰れ!」
信雄を追い出して信長はため息を吐く。
「まさか身内に足を引っ張られるとはな…」
後備えとして信長は信孝を大将に新たに抜擢し、上杉と長宗我部を新たに朝鮮の地へと送るように信長は手配した。
「信孝殿、よう来られた」
「叔父上、此度の信雄の件。申し訳ありませんでした」
俺は信孝の肩を軽く叩く。
「まあ、今までよりも進み難くなっただけだ。気にするな」
支配下に置いた朝鮮の地は落ち着いてるし此処からじわじわと攻めないとな。
義兄は短期決戦も考えたが、それも儘ならなくなったしな。
二、三日の休息を得て、新たな総大将、信孝を得て只野軍と諸侯の軍は動き出す。
進軍の先に明と朝鮮王朝の軍が待ち構えて居た。
「やっぱり、内政よりも戦してたほうが俺は楽だわ」
「そうですね、それには同感です。今回に限りは」
連れて来た大谷吉継が答える。
「三成は今頃、兵站の件で苦労を掛けてるだろう。終わらせ無くてはな。こんな戦は」
「全くその通りですね。友軍の羽柴軍が動きましたぞ。此方も藤堂高虎へ合図を放ちましょう」
そう言って大谷吉継は、鏑矢の準備をし矢を放った。
ピュルルルと音を立てて矢が放たれる。
その音を聞いた藤堂高虎の部隊が前面に展開して一方的な鉄砲射撃を行う。
合計一万の只野軍が藤堂高虎の動きに続いて鉄砲を一斉に撃つ。
一万の鉄砲射撃の威力は凄まじく、明の兵は一方的に蹂躙されて行く。
更には尽きる事の無い連続した銃撃を明と王朝の軍に浴びせて行く。
「やはり、只野軍は恐ろしい」
「かっかっかっ、官兵衛よ逆に味方で良かったで無いか!少なくとも只野軍と敵対する事が無ければ、あの銃口が此方に向く事はないだぎゃ!」
秀吉は笑いながらも冷や汗を流して居た。
(只野家とは絶対に敵対できないのう…)
長宗我部信親は織田の次は只野家だと密かに考えて居た。
「国を豊かにして貰った恩も有る。只野家とは敵対はするまい」
島津義弘も只野家との敵対は考えて無かった。
叩く時は容赦なく。只野軍は大谷吉継、藤堂高虎の指揮の元に徹底した追撃を明の軍と王朝の軍に掛けて行く。
やがて、ほぼ明の軍と朝鮮王朝の軍を壊滅に追い込むと連合軍はゆっくりと前進した。
その日の夜、俺は羽柴秀吉の陣幕に訪れる。
「只野殿、何かようですか?」
秀吉の訛りも大分マシになって来たな。
「ええ少し明に嫌がらせをしようかと思いましてね」
「ほほう?詳しくお聞きしても良いだぎゃ?」
俺は詳しく悪巧みの内容を話すと秀吉の顔に苦笑が浮かんだ。
「やはり、只野殿は悪人だぎゃ」
「いえ、此れでも大分マシな方ですよ。明に金を吐き出させるだけですからね」
俺が目を付けたのは塩の専売だ。
明に安く塩を売り付けて、国内の塩の業者を弱らせて更に、明からは金を吐き出させ官が良い感じに腐って来てるから明の弱体化を狙うだけだ。
まあ、嫌がらせだな。
それに羽柴秀吉にも加わって貰い嫌がらせをするのだ。
只野家だけが潤うのを良しとしないようにの処置だ。
「さて、うちからは岡左内を出そうか。金の使い方を一番分かってるからな」
「ではうちからは官兵衛を出すだぎゃ。腹黒いからのう」
黒田官兵衛と岡左内が互いに挨拶して早速、話を始める。
「左内、金は好きなだけ使え。何なら多少の横領は認める」
「真ですか!?」
「おう、お前が儲かれば、それだけ明の弱体化に繋がる」
「此方も多少の色を付けるだぎゃ」
「それと只野産の品物の取引も認める」
俺の言葉に岡左内の眼の色が文字通り変わる。
缶詰やらビールやら毛皮のコートやらと只野家が産み出して来た品々を明との取引に使えるのだ。
「ご隠居様、朝鮮王朝にも取引をしても?」
「構わんぞ。有効ならばドンドン行け」
「はっ」
岡左内と黒田官兵衛の只野産の品物を使った貿易に王朝の財政と明の財政が後々に傾く事になり、後のヌルハチが明を攻める時に大いに助かったと仁に手紙を寄越す事は、また別の話。
「取り敢えず、半島の半分を抑えたな」
明の軍と王朝の軍を相手取り、連戦連勝を重ねた。
やはり鉄砲の性能差が大きいようだ。
大砲も持ち込んで居るが、大砲は決戦用もしくは防衛兵器だからな。
それよりもトイレの設置を急がないとな。トイレの概念が無いと聞いた時にマジか!?となったからな。
野ション、野グソが当たり前で人糞を使った漢方薬とかどんだけだよ思ったわ。
半島の人達の意識の改革にも力を入れなきゃな。
俺は一つため息を吐くと、書類仕事に没頭した。
ちなみにこの広大な半島の土地は徳川家康が拝領する事になる。
家康が開発すれば良いじゃんと思ったが、開発に尤も力を発揮する俺とその家臣団が信長の命により半島の開発に力を出して居る。
まあ、開発に掛ける金は織田家から出るが…
此方は明の軍と王朝の軍を弱体化させる為に岡左内と黒田官兵衛の経済戦に移行させて居る。
奴等が来たら設置した大砲で追い返すだけだ。
半島の開発がある程度落ち着くと俺が信長に呼ばれる事になった。
只野軍の船は現在も日の本から物資を積み込んで半島と行き来をガンガン行って居るので問題はない。
朝鮮王朝の水軍?蒸気機関船の敵では無いなぁ。九鬼嘉隆が王朝の港を焼き払い、更に明の軍港を焼き払った。
元海賊だけなあり、その手際は非常に素早い物だった。
なので制海権は此方の物だった。
それに塩の闇売りを明の高官を巻き込んでやって居る。
更に只野産の缶詰が何故か高級物扱いになり、ガッポガッポと金や銀が此方に転がり込んで居る。
岡左内は笑いが止まらなくなり毎晩、裸で金貨ダイブをして奇声を上げて居るとか何とか?
名護屋城にて信長と対面する。
「苦労を掛けたな義弟」
珍しく義弟と呼んだ信長に俺は「はっ」と短く答える。
お前からの話を聞きたいと信長が言うので朝鮮での苦労話と笑った話をした。
「流石は熊よの、何時も通りだ」
「しかし、此れからは時間が掛かるでしょうな」
「うむ、信忠からも財政が何れ逼迫すると言われたわ」
「天竺までは遠いですね」
「全くだ」
「上様、信孝殿をこのまま大将に?」
「その積もりだ。信忠は日の本から動かせん。信雄もあのようではな…」
どうやら信雄は朝鮮の地で相当なオイタをしたようだな。
「義弟には暫く休んだ後に再び、朝鮮の地へと赴いてくれ」
「はっ」
俺はその日は名護屋城に泊まり、翌日には馬上の人となり、一足早く江戸へと戻った。
江戸での休養は、ある程度の書類仕事と子供達との交流や嫁達の相手を中心に行った。
どの大名も今回の遠征に大分、無理してるのか信忠に借金の申し込みが増えて居るようだ。
「まるで底無し沼ですね」
長男で当主の息子がポツリと呟く。
「信義よ。他言は無用だぞ」
「分かって居ります父上。只野家はまだまだ余力がありますね」
「まあ、明や朝鮮王朝相手に商売もしてるしな」
他には貿易とかで、かなり只野家は儲かって居る。
「朝鮮の地で何か会っても困るから、お前は出兵するなよ」
「分かって居ります父上に全て任せますよ」
一ヶ月後、俺は再び朝鮮の地へと赴いた。
着いてから早々に明の軍勢が攻めて来たそうな。
また壊滅しなければ行けないな。
「明の軍は十五万の軍か…」
此方は体勢が整って居て、只野軍を入れて合計十万の軍だ。
十万の軍が駐留してるお陰で兵糧がカツカツだ。
もっと輸送船を増やさないと行けないな。
それも此れも、この戦が終わってからだな。
只野軍は直ぐに平原へと布陣する。
諸侯の軍も只野軍に合わせて軍を展開する。
明の軍勢と睨み会いになった。
時折、互いの軍勢から雄叫びを上げて互いに挑発してる。
「全く、勝家の爺や信雄がやらかした結果がこれだよ」
俺は愚痴を呟きつつ、青龍偃月刀を背中から抜きつつ赤兎に股がる。
「大将、鉄砲を撃たないのかい?」
「そうだな撃ってしまうか」
俺は可児才蔵の案を採用して只野軍全体で鉄砲射撃を行う事にした。
パパーンッ!パーンッ!パパーンッ!
単発式のライフルと言えど、玉を込める早さは火縄銃のソレとは違う。
只野軍の間断無き鉄砲の射撃によって、明の軍勢が次々に壊滅状態に追い込まれる。
このままでは危険と判断したのか明の指揮官は只野軍に向かって突撃をして来た。
「まあ、普通ならそう来るわな」
俺はその動きを既に予想していた。
俺の軍の両脇に野戦陣地を立てて、とある新兵器を使う事にする。
「大量の敵を圧倒的な速度で殲滅する」
俺が用意した新兵器は重機関銃ガトリングガンだ。
ガトリングガンは明治維新前には既に完成していた。
何処かの藩が明治維新の軍に対抗する為に買って備えて居たらしい。
今回用意したガトリングガンは試作の為に四丁用意した。
それを両脇から一斉に明の軍を十時砲火を行う。
さてと、もうすぐで明の軍勢はデッドラインを越える。
「越えたな?ガトリングガン一斉射撃!」
俺が命令を下すと凄まじい勢いで、ガトリングガンが火を吹いた。
明の軍勢はガトリングガンの十時砲火を越えられず次々にその骸をさらす。
此れには各国の諸侯が大いに動揺した。
「此れは戦では無い…一方的な虐殺だ!」
「此れでは軍の意味が無いでは無いか…」
「戦は変わる…只野軍によってな…」
諸侯の軍の将は只野軍の圧倒的な戦力にただただ戦慄して居たとか…
「よし、追撃だ。才蔵、直澄、行くぞ」
「おう!」
「はっ!」
只野軍の追撃に遅れまいと諸侯の軍も続く。
明の軍勢は壊滅的な被害を被って、ほぼ壊滅した。
「此れで当分は安泰だな」
一ヶ月後、ある程度の内政を終えた俺は半島から日の本に帰る。
信長が半島を徳川家康に正式に任せたからだ。
諸侯の軍も只野軍が引き上げた後に続いて帰る。
信長は明との交渉を家康に任せて更に半島の統治も家康に任せる事になった。
家康からガトリングガンを置いて行って欲しいとの要請が会ったが丁寧に断った。
信長から資金や武器の提供をたっぷりと受けてるだろ?
まだまだ朝鮮半島は明と日の本の代理戦争の舞台だが、明が二度も壊滅的な被害を受けたので流石に慎重になり家康はこの機を逃さず、明との交渉を行う。
まあ後は任せた!
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