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しかし、虚仮の一念岩をも通すという訳にはいかない。僕はクラスの中で一番可愛くて好きな三崎希美にアプローチし続けてるんだが、一向に受け入れられないのだ。と言うか軽くあしらわれてしまうのだ。
やっぱりこれといった取り柄のない僕なんかアホらしくて相手にしないのかと諦めかけていた時のことだった。僕は下校していると、その途中、道端の叢の中に何やら白い物が見えたので近づいて草を掻き分けてみると、人間の赤ちゃんが一糸まとわぬ姿でぐったりとして横になっているのが分かった。よくよく見ると、その子は背中に白い翼を生やしていて空穂を腰に付け手に弓を持っている。
これはひょっとしてキューピッド?そうだ!キューピッドに違いない!と思った僕は、助けない手はないと意気込んで彼を軽々と抱き上げた。とても柔らかですべすべした肌。人間の赤ちゃんと変わりない。
僕は人に見られると誘拐犯に思われそうな気がして人に見られまいと急いで帰宅した。兎にも角にも自分の部屋へ運び込んでベッドに寝かして掛布団をかけてやった。そしてエアコンをつけて25度に設定して室内を快適にしてやった。
すると、彼の苦しそうだった顔は見る見る安らかな表情になって行った。なんて可愛らしいんだろう・・・すやすやと眠っている。
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