変化 琴音編 ❶

15/40
前へ
/498ページ
次へ
なので…ふふ、勿論そのことを知っていた私は、なんで今回に限ってそんなイベントに出ることを承諾したのかと聞いてみると、義一は今日一番の苦笑いを浮かべつつ答えてくれた。 「い、いやぁ、まぁその…あはは、まぁいつも提案されていたのは、司会の方と僕とのワンツーマンでの対談方式でね?んー…まぁ独りっきりじゃない点ではマシかも知れないけれど、でも初対面の人と二人っきりで一時間以上人前で喋るのは億劫で…さ?だから断っていたんだけれど…でも今回は、武史と一緒に出るというのでね?だったらまぁ…うん、毎回断るのも申し訳なかったというのがあったし、だったらたまには引き受けてみるかなって気になったんだよ」 …との事だった。 まぁ、思った通り、想像通りの答えだったので意外性は微塵も無かったが、でもまぁそんな些細な事よりも、私も良く行く本屋でのイベントというのもあって、いつあるのかと質問攻めにしたのは言うまでもない。 そんな私の勢いに苦笑いで応じつつ、義一は素直に日程を答えてくれたが、その瞬間、私はテンションを落としてしまった。 何故なら、一応来月中というので夏休み中には間違いなかったのだが、それはお盆中というので、その一週間ばかりは恒例の欧州への家族旅行という予定が既に入っており、そのイベントに行けない事が確定したからだった。 それが分かった途端に、演技ではなく素で軽く落ち込んで見せていると、 「あはは。いやいや、でもね?気休めになるか分からないけれど、一応そのイベントには録画用のカメラが入るらしくて、その本屋のホームページでも一定期間中は無料でアップしてるらしいし、僕らオーソドックスのサイト上でもアップする予定だから…ふふ、心配しないでよ」 と義一が慰めの言葉をくれたので、本当は会場に行って、初めて世間の人間の義一達、特に義一に対する生の反応を見れるというので、現場で肌身に感じたいという思いを強く持っていたのだが、
/498ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加