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「俺は明日お見舞いに行く予定だけど、お前はどうすんだ?」というものだった。
「私も行きたかったんだけれどねぇ。まぁ細かい話はともかく、明日はあなたが一人で裕美のお見舞いに行ってあげてよ」と、別に図ったわけでは無かったが、何だか意味深な返事を返してしまった。
だが、鈍感なフリなのか、本気で気付いていないのか微妙なところだが、ヒロはそんな私の文面には突っ込まずに、「分かった。じゃあ明日行ってくるわ」とシンプルな返事を返してきた。
…ふふ、これも意図したわけでは無いが、お母さんの件を伝えるのを忘れてしまっていたので、恐らく今頃驚いている可能性が一番高いのはヒロだろう。
…と、せっかく義一が心から心配してくれているというのに、思わず思い出し笑いの為に、ニヤケそうになるのを何とか抑えていたのだったが、そんな私が何故今宝箱にいるのかの説明もした方が良いだろう。
結論から言うと、実は前々からこの様に義一の元へ訪問する予定は既にあった。
とは言っても、別に日程が決まっていたわけではなく、「七月中のどこかで、ちょっと時間を作って貰えないかな?渡したい物と、直接伝えたい事があるんだ」という、義一にありがちな思わせぶりのメッセージを一週間前くらいに貰っていたのだ。
どうせ中身を聞いても教えてくれないのは長い付き合いの中でわかっていた私は、「考えとく」と保留していたのだが、今月も後一週間、しかも恐らく裕美関係で時間を作るのが難しいだろう事は容易に想像が出来ていたので、むしろ今日がチャンスと、昨晩のうちに義一に連絡を入れておいていた。
いきなりの提案だというのに、開口一番に受け入れてくれたのだが、既に話はしていたので「裕美ちゃんの方は大丈夫?」と心配してくれた義一に対して、ついさっきお母さんにしたのと同じ説明を、もう少し端折りながら説明すると、すぐに理解してくれて、そして今日と相成った。
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