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「とは言っても…」とその直後、テーブルの上に乗った小振りのサラダボウルガラスの中身に目を落とすと、少し自嘲気味に笑いながら付け足した。
「…まぁ、今回は手抜きというか簡単なものだけれどね?」
そう、私と義一の前に置いてあるお皿の中身は、結論から言うとフルーツポンチジュレだった。
毎度の如く、忙しいのを知りつつも本人が是非にと言うものだから、ついつい甘えて義一に材料は全て用意して貰った。
材料のあらましを披露すると、ミカンの缶詰、キウイフルーツ、ブドウ、粉ゼラチン、砂糖、レモン汁だ。
ここに来て早々に、一旦宝箱に荷物を置くと、そのまま間を置く事なく二人揃ってキッチンに入った。
義一にミカンの缶詰の中身を果肉とシロップに分けるように指示する間、私はキウイフルーツの皮を剥き、いちょう切りにした。
分け終えたと言う義一に、今度はボウルに熱湯を入れて、分量を計っておいた粉ゼラチンと砂糖を加えて、よく混ぜるように頼んだ。
完全に溶けたと言うので、その上から私がレモン汁と義一が分けた缶詰のシロップを加えると、また混ぜるように頼む間、すっかり自分の家と同じように把握したキッチンの冷凍庫の中から氷を取り出すと、氷水を作った。
義一が頑張って混ぜてくれたソレを氷水に当てて粗熱を取りながら、ゴムヘラを使って泡立たない様にかき混ぜた。
こうする事で段々トロミがついてきて、固まるまでの時間短縮が可能となるのだ。…と、ふふ、お菓子作りの先生でもある師匠から教わった。
そこにミカンとブドウを加えて少し混ぜると、ボウルごと冷蔵庫に入れた。まだ入れていないキウイフルーツも忘れずにだ。
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