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「ふふ、昨日観たよ。有希さんが初めてアシスタントとして登場した番組をさ」
と意味深に笑いつつ言うと、「あー…ふふ、見てくれたんだね」と、何故そんな笑みを私が浮かべていたのか察したらしい義一は、少し苦い笑みを浮かべつつ返した。
そう、義一の番組は都内と、その周辺の県限定の電波を持つテレビ局の番組で、毎週土曜日の朝に放送されているのだが、以前にも軽く触れた様に、その時間帯はちょうど朝食時だというのもあり、普段からリアルタイムでは観れずにいた。
まぁもっとも、お父さん達の前で義一の番組を観れるわけも無かったのだけれど。…もうどうでも良いと思っていてもだ。
土曜日に放送された分は、有名な動画サイト内にあるテレビ局公式アカウント内に、その日の晩のうちに同じ放送がアップされるので、その翌日、つまりは日曜日に試聴するというのが日課となっていた。
普段なら、日曜日は月一の藤花が教会で独唱する日でないならば、基本的に午前から夕方にかけて師匠の家でレッスンをするのが習慣だったのだが、既に触れた様に、昨日は裕美のお見舞いに行き、本当はあまりよろしくないが夕方まで長居をしてしまったので、結局は寝る前に観る羽目となった。
…ふふ、いや、少し意地悪な言い方をし過ぎたかもしれない。今言った様に、師匠の元でレッスンを受けて終わるのは大体五時くらい、ここ最近は毎度の様にそのまま夕食にお呼ばれするというルーティンも出来ていたので、今回のことが無くとも、視聴するのは寝る前なのだった。
その旨も触れつつ、そのまま番組内容の話に入っていった。
「…だからね、あなたとは宝箱で色々なテーマで議論を楽しんできたけれど、今回のテーマについては意外と一度も無かったから、とても新鮮で面白かったわ」
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