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「そうかい?ふふ…うん、考えてみたら、君といわゆる”女性”について話した事は無かったね」
と義一は徐々に自然な笑みになっていっていたが、しかしやはりまだ苦味成分は残したままだった。
「まぁ…ふふ、放送時間の制約上、色々と端折っちゃったから、視聴者に誤解を残してしまう結果になっているかも知れないけれど、僕が言いたかったのは単純な事で、どんなに男女平等、男女の間の差を無くそうとしたって、どうしたって”性差”の壁を取り除く事は不可能だし、それに関連する、特に”家族”に関しての男女それぞれの役割、得意分野が違う事からは逃れられないって事なんだ」
「えぇ、そうだと思う」
「ふふ、ありがとう。だからまぁ…今言った様に、現代というのは妙に男女の間にある差を縮めようって事を躍起になって頑張ってるんだけれど、僕はそんな達成不可能な無駄な事をするのは止めて、したい人はすれば良いけれど、これといって強い意志を持たないならば、昔の様にキチンと男と女は違うんだというのをまず認めて、お互いにその違いを”正しく面白く感じたり思って楽しもうよ”って事を、あの中で言いたかったんだ」
「…」
と義一の言葉に、敢えて私は意味ありげに間を置いて見せた。
別に番組を観たその時だって、すんなりと理屈を無理なく飲み込めた私だったが、何となく意地悪にそうしたくなったのだ。
だが、何か目的があってした訳でも無かった私は、すぐに自然体な笑みを浮かべつつ返す事にした。
「…ふふ、あの番組内で義一さん、あなたは有希さんが同意してくれた時に、私は私でボーヴォワールの言葉を思い出していたんだけれど…」
「あー…ふふ」
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