変化 琴音編 ❶

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と、流石義一は一瞬にして何のことを指しているのか察したらしいが、「流石琴音ちゃん、すぐに連想したんだねぇ」とまた不用意に褒めてきそうになったので、それを慌てて遮るために話を続けた。 「え、あ、いや…あ、それでね?何が言いたかったのかというと…さ?んー…ふふ、義一さん、あなたはあの番組内で『自分の意見に同意してくれた女性は、今現時点の日本で有希さんが少なくともいてくれたお陰で、一人は見つけれた』的なことを言ってたけれど…ふふ、リアルタイムでは無いにしろ、ここにだって一応いるんだからね?」 と私は悪戯っぽく笑いながら、自分の顔を指差して言った。 そんな子供っぽい態度を見せた私に対して、義一は一瞬呆気に取られていた様子だったが、それも長くは続かず、一度クスッと吹き出す様に笑うと、その延長線上にある様な笑顔を浮かべながらお礼を返してくれた。 「でもまぁ、有希さんもあなたの意見に賛成だって言っていたし、今までも私個人としては面白かったけれど、二人が良いコンビとなって益々番組が面白くなっていきそうね?」 と、お互いに笑い合った後で私がそう口にすると、丁度紅茶を飲んだところだった義一は、カップをソーサーに戻しながら返した。笑顔だ。 「ふふ、ありがとう。んー…実はね、あの収録の後で、これは毎回恒例となってるんだけれど、プロデューサーとかと一緒に簡単な打ち上げに行くんだけどね?そこに有希さんも一緒に来てくれて、どれくらいだったかなぁ…ふふ、打ち上げが始まって早い段階で、ついつい聞いてしまったんだよ。あそこで同意してくれたのは本心からだったのかって」 「えー…ふふ、義一さんらしい」 別に一々確かめなくても良いだろうに…と思ったが、
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