変化 琴音編 ❶

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変化 琴音編 ❶

「そっかぁ…うん、君から予め連絡を貰っていたけれど…裕美ちゃん、心配だねぇ…」 と言葉に偽りなく、その顔にも心配の色を隠す事なく浮かべて言う、向かいに座る義一に対して「えぇ…」と私も、口に付けていたカップを離すと、それをゆったりとした動作でソーサーの上に戻しつつ返した。 本日は裕美のお見舞いに行ってから翌日、七月の最終月曜日の午後だ。言うまでもなく、今私は義一宅の宝箱内にて、義一と一緒に出してくれた紅茶を飲みながらお喋りをしている。 今日はまず朝起きて食事を終えると、今は夏休み中なので、十五分位かけてストレッチをしてからピアノの練習を四、五時間するという、正午過ぎまでの休日ルーティンをこなしてから宝箱に来た。 んー…本来ならと言うか、本当の気持ちからすると、昨日に続いて今日もお見舞いに行きたかったし、それを実際に帰りがけに訴えてみたのだが、「ふふ、そんな毎日だなんて来なくても大丈夫だよ」と照れ笑いを浮かべる裕美に返されてしまった。 「あ、いや…あはは、今の言い方だと、来て欲しくないみたいに聞こえちゃったかも知れないし、そう受け止められたら困るけど…うん、まず今日アンタがいの一番にお見舞いに来てくれた事それ自体がめっちゃ嬉しかったし、さっきスマホを見てたら、明日はヒロ君が、明後日は絵里さんと、それに…ふふ、これが驚いちゃったけど、絵里さんだけじゃなく有希さん、それに百合子さんまでが来てくれるというから、そ、その…うん、心配しないで?暇な時に来てくれたら、それだけで嬉しいから」と顔をほんのりと赤く熱らせながら続けて言われたので、確かに同じ都内とは言え、若干離れた所に住む有希と百合子がわざわざお見舞いに来てくれるという話を聞いて私も驚きこそしたが、しかしすぐに「えぇ、わかったわ」と取り敢えず引き下がる事にした。
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