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エピローグ
「鳥はいいな。俺もあんな風に何も考えずにどこまででも飛べたらな。」
都内から見える海を眺めながら鳴瀬尊はポツリと呟いた。ここから見える海は南国リゾート地のような綺麗な海に比べれば、生活用水などが垂れ流しにされているためお世辞にも綺麗な海とは言えなかったが、それでも尊はここからの景色が意外と好きだった。
「お前は何でそんな美しいんだ?何でそんな華麗に羽ばたくことが出来るんだよ」
尊は問いかけるように鳥に呟いた。しかし鳥はそんな尊の問いかけなんて意に介さないように、空を旋回している。青い海が鳥の白い羽をより一層華麗に見せているような感じる。
「まあ、教えてって言われても答えなんか分からないよな。」
尊は何かを悟ったかのように苦笑いすると堤防を登り帰路についた。鳥は旋回を辞めて尊とは反対の地平線の先まで続く海へと飛んでいった。その姿はどこまででも飛んで行けそうなほど力強く、美しかった。
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