新幹線

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新幹線

車内は平日だからか乗客は少ない。 自分の後列にお爺さんが一人。 隣の列にもカップルが一組。 静かな車内は窓の外の景色とは別世界 のようだ。 正午に上野駅から出発して、 外葉桜駅で一度止まってから二時間は 経っている。 ※ 外葉桜駅に新幹線は止まりません。 ※ まずそんな駅ありません。多分。 外の景色は建物が減ってきた。 その代わり自然が多い。 というか、ほぼ自然だ。 深い山と山の間を新幹線ですり抜けている ようだ。 山に申し訳無くなり外に向かって 軽く頭を下げる。 頭を下げた山はすぐ窓から消えてしまった。 お茶を飲む。 やはり新幹線はお茶だな。 ふと時計を見ると、午後5時。 あれ?5時には京都に着いている筈なのに、 まだ新幹線は山の間をすり抜け続けている。 車内の時計も5時。 何かおかしい。 隣の列のカップルも時計を見比べ頻りに 首を傾げている。 ピーンポーン 『まもなく狸山狐谷駅に到着致します』 え?京都じゃないの? 少し新幹線が揺れ、 景色のスライドが段々と遅くなる。 そして完全に停止した。 外の景色は山の中。 どう考えても京都ではない。 静まる車内。(元から静か) シュゴーーー   ドアの開く音がした。 次の瞬間、大量の狸と狐が わらわらと入ってきた。 なんだなんだと戸惑っている間に すかすかだった座席が狸と狐に 埋め尽くされてしまった。 自分の隣には手を繋いだ狐と狸が 座っている。 京都に行ったことが無いから、 途中で狐と狸も乗ってくることを 知らなかった。 この調子なら京都はもう 異世界同然なのだろう。 俄然楽しみになってきた。 「京都ってどんな所なんだろうねぇ」 隣の狐が自分と同じことを言っている。 隣の二匹も京都初めてなのか、
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