第三十五部の弐 心の欠片『和風オムライス』

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第三十五部の弐 心の欠片『和風オムライス』

 さて、オムライスと言えば。  日本が生んだ洋食とは言え、完全に洋食スタイルなのもいかがなものか。  灯矢(とうや)の食べたいものは、きっとそれかもしれないが。完全に洋食店の味を再現するだけでも面白くない。面白味を追求してもいけないとは思うが。  少々、内側のご飯の味を工夫しようと決めた。  灯矢から取り出した心の欠片である、卵達は調理台の脇に置き。  まずは、玉ねぎを刻むことにしたが。 「灯矢君は、苦手な野菜とかはありますか?」 「な……ない、です!」 「ふふ。基本的に好き嫌いはないんですよ」  母である灯里(あかり)が小さく笑うくらいだから、本当にないのだろう。であれば、にんじんとピーマンを入れよう。  火坑(かきょう)は子育てをしたことはないが、野菜をまったく食べないのもいけないと思っている程度。  火の通りやすいように、細かく刻み。油で炒めて、合い挽き肉も入れてケチャップは入れずに、醤油、砂糖、酒、みりんを合わせた調味液を流し入れる。  アルコール部分を飛ばすためにも、よく煮込んで。煮詰まったら、ご飯を入れて混ぜてから皿に盛り付けておく。
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