第三十五部の弐 心の欠片『和風オムライス』

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「……ん。美味しい!! おしょーゆの味のご飯だけど、美味しい!! 卵、ふわふわ!!」 「ふふ。ここの大将さんのお料理だもの?」 「お粗末様です」  喜んでくれて何よりだ。  灯矢は少しオムライスが冷めてからも、ゆっくりゆっくり食べていく。普段から、灯里達にきちんと言いつけられているのだろう。  ああ、もし美兎(みう)と将来的に結婚して子供が出来たなら。どう育てていくのか。  楽しみだが、まだまだ考えるのは早いと考えていたことを霧散させたのだった。 「……ごちそうさま、です」  気がつくと、ゆっくり食べていたのにもう灯矢は食べ終えてしまったようだ。  子供サイズに作ってやったから、なくなるのもあっという間だったのだろう。  次はどうするか、灯里の方に聞くと。 「卵ばかりもよくないですし……去年と同じような煮穴子の握りを」 「あなご??」 「ふわふわして美味しいお魚よ?」 「食べたい!」 「かしこまりました」  それから、雨女一行のランチタイムは。  時間の許す限り、続いていったのだった。
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