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第二十五部の肆『猪肉のカレー』①
スッポンのスープで身体を温めてから。
次に出された角煮は、田城の食欲を掻き立てるものだったらしい。
目の前に出されてから、写真を撮った後に勢いよくひと口で食べ始めた。
「ほろっほろ!? え、柔らか!? 溶けた!!」
「ふふ。昼間に仕込みましたしね?」
「美味し!! 美兎っちの彼氏さんの料理マジ美味!? あ、えーと?」
「火坑と言います。呼びにくいようでしたら、店長でも大将でも」
「おお! 大将とかかっこいい!」
「ふふ」
酒は沓木も含めて、美兎オススメの自家製梅酒のお湯割り。田城もだが、沓木も気に入ったらしく、ごくごくと飲んでいた。
しかし、相変わらず角煮は絶品だ。
蕩けそうなくらい柔らかいのに、口に入れたらふわふわであっという間に溶けてしまうのだ。なのに、脂身とは別の肉の部分はちゃんと歯応えがあって。
練り辛子をちょこっとつけると、鼻を通り抜けていく刺激がなんとも言い難い恍惚感が訪れる。
思わず、ぱくぱくと食べてしまえるほどだ。
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