明かりで煌めく

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 もうすぐ彼女がやって来る。じたばたと草原をあっという間に僕は一回りする。彼女に会えると思うだけで肌が熱くなる。気づくと白くて丸い二階建てぐらいの建物が、目の前にはあった。中から彼女が迎える。 「どうぞ」 「ありがとう」 そっけない彼女の態度が、何とも言えず愛らしい。一緒にいられるだけで、心が洗われた。そう、これは、奇跡なんだ。もう、離れたくない。  いつも彼女は美しいけれど、今日の彼女は一段と輝いて見える。長旅の疲れも感じさせない。宇宙に行くと、肌がきれいになるのだろうか。今日はなんだかその肌に触れたい気分で、思わず僕はそっぽを向いてしまう。目の前には、リアルな星々のパズル。彼女のように煌めいていた。 「最近きれいになった? 肌、きれいだよ」 思い切って言ったその言葉に、彼女が 「ええ、最近のりを塗ったので」 と。思わず僕は吹き出してしまった。だけれども伝わっていないという事実ですぐに冷静な感情がやってきた。 「ちがうよ、君のことだよ」 くすりと、そして僕は微笑する。  けれども、どれだけの言葉があっても、君にはこの気持ちが伝わらないのだろうか。少し諦めていた。諦められなかったけれど。  遠ざかっていく美しい夕焼けの景色のように、あの時と同じように、僕から君も離れて行ってしまうのだろうか。急にそんな真っ黒な宇宙のような不安がやって来る。  でも、そんなことは嫌だ。けれども、もし、僕のことを嫌いになってもいつだって、君の本当の幸せを僕は願うよ。…………君が好きだから。  そう言おうと頭を上げたとき、彼女の肌が赤くなっている事に僕は気づいた。ついさっきまでと彼女の様子が真逆だったので、少し心配した。だけれども、その心配はいらないと分かる。  まるで幼い子供のようだった。  そんな彼女の愛おしい表情を、呼吸が止まっているように僕は見つめる。時が止まっているように感じる二人のアイコンタクト。神様よ、時よ、もう時を戻すことは出来ない。このままどこかへ目の前の君が行ってしまわないように、二人の中の時の流れを僕は止める。
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