明かりで煌めく

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 これは彼に出会う前の話。  仲間の前で、その奇妙な妄想。そう、恋愛ドラマに向かい 「こんなの思うわけないじゃん」 しれっと、そう、場を冷たくする言葉しか出てこなかった。  正直言って、人と感覚が違うのは分かっている。恋だの愛だの言ったって、全く意味が分からない。人間の恋愛だのは、変態か妄想、どちらかでしかないように感じる。もしそれが恋愛なら、恋愛だなんてくそだとしか思えない。それなら、そんな愛なんていらない。愛なら、友情というものが最も大事で、ちゃんとあるから。恋愛なら、それは私の求めているものではないのだ。というよりそもそも、友情しか愛というものを思いつかなかった。  偏見のない目で世の中を見られたら、どれだけ素晴らしく、私は自由になるのだろうか。  けれどもそれこそ、デートなんて時間とお金の無駄だ。画面の向こうで誰かが恋をしていても、そうやって友情でない愛をお互いに誰かが語り合っていても、何も思わない。だが何故か、それに興味が無いと、仲間に言いたくなった。  友情しか知らない。だから、いつも恋愛を心は否定していた。  けれどもその時はやってきた。指令は愛というものを知りなさい。友情でもない、血のつながりのない愛を。  私の故郷では人口増加などの目的のために、このような指示が出されることがある。それも時々。私にとってたまたまそのターゲットに自分が当たったことは、最悪な罰ゲームのようなものだった。故郷では私の恋愛対象である異性全員と話をしてみたが、全くピンとこなかった。いろいろな星の恋愛映画を山ほど見たが、それでも分からないことしかない。恋愛対象が同性なのではないかとも思ったが、それすらも分からなかった。そんな時、偶然、旅行先の地球で彼に会った。初めて会ったその時の彼に、自分のひねくれた恋愛相談を頼んだ私がちょっと変わっていることなんて分かっている。初めて会った時は、こんな異星人に自分が恋をするなんて思いもしなかったから、あまり慎重でなかったのだろう。服は光っていないし、なぜか彼の笑顔は絶えなかったものだから……。 「友情の絡んでいる恋愛でもいいんじゃない」 と、そう彼は言った。  その言葉に、気づくと顔が熱く、酔ったように心の中、私はふらふらになっていた。そしてそれを現実に出さないように必死だった。  気づかされた本当の気持ち。どこかへと、心の中の蓋をしていた重い石が消えた瞬間だった。思えばその声に、私は恋をしてしまっていたのかもしれない。  倒れそうな自分を必死に起こして、気を失わないようにする。私を見つめる彼の目から電気が走ってくるから。  その言葉に、一目ぼれをした。人と感覚が違うということは分かっている。ただ、その言葉が私を励ましてくれた。それが、ずっと心の奥に残る。初めて会った虹のかかる広い菜の花畑で、少しうつむきながら彼と共にゆっくりと私は歩き始めた。
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