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叔父が医師にお礼を言うなかで、あたしは自分の近い肉親が死んだという事実に向き合えなかった。
かつて、母があたしにとっての祖母を亡くしたとき、母は大泣きしていたことを思い出した。同時に、肉親を失うことの恐怖を今一度思い知らされたのだった。
暗い病室から父が運び出され、葬儀場まで運ばれるまでのあいだ、あたしは叔父と今後のことについて話をした。
医師が父を見送ったときの空は、ずいぶんと明るくなって皮肉なくらいに青々としていた。
そんな日に、あたしは父を失った。
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