おすすめ占い〼

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慣れたことなのか、店員はにっこり笑って男の手を両手で包むようにしてから、そっと手を離した。 「少々お待ちください」 一旦カウンターを離れた店員は、店内から1冊の本を持ってすぐに引き返してきた。表紙は、こちらからは見えない。 「こちらが本日のおすすめでございます」 「またけったいなもの持ってくるねぇ」 呆れたように言いながらも客は財布を開き、いそいそと帰っていった。 (何だアレ) 他に店員はいないのだろうか。周りを見渡しても、閑散としていて人の気配がない。 店員は、何事もなかったかのようにカウンターの中に戻っていく。 客に手を握られるのは、日常茶飯事なのだろうか。それくらい、どうってことないのかもしれない。 (俺なんか、女の子の手を握ったことすらないのに……!) もやっとする気持ちのまま、つい視線で追ってしまっていると、店員と目が合ってしまった。 (あ、ヤベ)
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