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父と息子がいる家
「それで? どっちなんだ」
「……男の子だって」
「それはよかった!」
心の底からほっとしたような反応。
それ「は」という言い方がいちいち嫌らしい。
じゃあ、もし今回「も」私みたいに女の子だったらがっかりしてた?
とりあえずめでたい娘の妊娠も、そこからのこまめな報告も、全部このため?
新しく生まれてくる命も、やっとこの家をあなたの理想通りの家庭にする小道具なだけ?
一世代超えてやっとはまる、足りなかったピース。
ちら、とダイニングテーブルの母親の様子を伺うと、向こうも安堵した表情をしてる。
恨めしい。
あなたにとっても、しょせん私は、自分が果たせられなかった使命を引き継いだだけの、ただの後片付けの道具?
親が喜んでいても、私は素直に嬉しいと思えない。
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