突然見知らぬ幼女にお父さんと呼ばれて、幼馴染みと修羅場になったんですが

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 *** 「……お前、パニックになりすぎだろ……」  突然呼び出された親友のケースケは。不機嫌さえも通り越し、呆れ果てた顔で俺を見たのだった。  アカネは激怒して、ぶっとんだ俺を放置して帰ってしまい。きょとんとした幼女は今、ケースケの姉であるミナミさんがお守りをしている状態だ。 「タカオ、お前は今幾つだよ」 「二十一、デス……」 「だろ?あの幼女は広く見積もって五歳から七歳ってとこだ。アレがお前の子なら一体幾つの子だって話だよ。やらかしすぎてんだろ。そもそもお前まだDTじゃん」 「そんな大きな声でDTとか言わないでくれますかケースケさんっ!?泣きたくなるからねマジで!!」  そう、自分が彼女のずーっといないぼっちで。かつ最近やっと幼馴染みのアカネと進展してきて、一緒に大学から帰るついでにショッピングするくらいの仲になったばかり――というのは周知の事実であるのだ。アカネ本人も知らないはずがないのに、何故信じてくれなかったのだろう。正直、悲しくて仕方ない。確かに幼女はどことなく俺に似ている気がしないでもないが、髪の色が明るめでタレ目なんて程度の特徴、珍しいものでもなんでもないはずである。 「……どうしよう。俺そこまでアカネにクズいやつだと思われてたのかな……」  公園で遊ぶケースケの姉と幼女を見ながら、しおしおとベンチで小さくなる俺である。 「ていうか、あの子何で俺のことお父さんだなんて呼ぶんだよー……。全く知らねーよ、確実に誰かと間違えてるよぉ……」 「うーん、そうかもなぁ……」  ミナミは子供の世話がとても上手らしい。二人の自宅はこの公園のすぐ隣だ。今は家から持ってきた紙風船を使って、言葉遊びをしながら投げ合うということをしているらしい。何故か幼女はにこにこしながらミナミの言葉を鸚鵡返しにするばかりなので、果たしてゲームとして成立しているかはわからないが。 「アカネもさあ、冷静じゃなかったんだろうな。いくらなんでもお前が中学生くらいで女孕ませて捨てるようなアホだとは思ってないだろうし。つか、そこまでお前がモテるとはま――――――ったく思ってないだろーし」 「もしもーし?ケースケさーん??」 「じゃあなんで冷静さを失ったのか、だよ。普通に考えればさ、それくらい動揺したってことだろ。お前に、自分の知らない彼女がいたかもしれないって事実に。何でだよ、まだお前ら正式に付き合ってもいないのにさあ」 「……」  改めてそういう指摘をされると、なんだか気恥ずかしいものがある。  俺だってわかってないわけではないのだ。もしアカネが俺のことをどうとでも思っていないのなら、さほど気にしたりもしないし。幼馴染みや友人としてだけなら、精々冷たい目で見る程度の対応だろう。いきなりあそこまでブチキレるというのは疑問が残る。  答えなんか言うまでもなく出ているようなものだ。俺だって自分が逆の立場であったら、どこまで冷静でいられるか怪しいのだから。 「いつまでもぐだぐだ“友達”続けてんなよ。周りみーんなわかってるんだぞ。幼馴染みなら必ずくっつける、なんて神話、今の御時世じゃどこまで通じるか怪しいぞ」  というわけで、と。彼はぽんぽんと俺の背中を叩いたのである。 「……あの幼女の話はこっちに任せとけ、大体想像ついたし。どっちみち、保護して警察に連れていかなくちゃいけないのも確かだしな」
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