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金曜日。たぶん三時すぎ。
自分のミスから大変なことになってしまった。
胸が締めつけられ、ずっと頭のあちこちがしびれて波うっていた。
私が務めるファッションメーカーClariceの資材管理部に、渋谷店の、吉岡 明海店長からの問合せがあり、電話を取り次いでそれは発覚した。
「今日入荷分のが、一着もこないんだけど、どういうこと?」
血の気が引いていく。
自分のノートPCを開き、管理表を覗きながら、そんな馬鹿なと頭の中がまっ白になる。
渋谷店への商品数をチェックする。
配送する商品の数字が抜け落ちている。
何度見て調べても、別の店舗へ全て回されていて、渋谷店への発送はゼロだ。
終わった。と思う。
私がやった仕事だった。
昨日のたしか昼休み前、社内でもイケメンと言われてる白崎チーフが、渡瀬さんと三人で、外で食べないかと誘われた頃だ。
各店舗への数量を調整して、仕分け倉庫へ転送する。そうたいして難しい仕事ではないはずの、一人でできるよなと任された入力と配送依頼だった。
指示通りに単純入力すればいいはずが、何を考えていたのか……
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