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少子化をどうすればよいのか
政府は少子化を憂えていた。
外国人をいれるというのも、日本が好きなら良いが、反日外国人が増えてもらっては困る。
そこで、対策委員会を設置したのである。
政府からも田村祐二という若手の政治家と中村優子というやはり若手の女性議員に任された。
募集して、一般人の人たちも参加したのだが、ママだったり、売れない女優だったり漫画家や修行中の脚本家だったりいろいろであった。
「どうして、日本人はセックスをしないのでしょうか?ひとりめはできてもそれっきりセックスしないひともいます。私の知ってる人はうちはオリンピックだって言ってました。その人は子供がいないんですよ。平和の性典なんですか?4年に一回じゃ子供なんてできるわけない。ママ友達なんて5年ぶりだって。象の性欲って5年に一度だそうですが、象なみ夫婦だって本人笑ってましたが昔は子供を欲しがってた。私なんてね。子供が15才なんですけど、こどもがうまれてからやってません。だんなとしたくないから丁度良いんですよ」
中村優子は言った。
「なるほど、家族になってしまって、セックスができないって私もよくうかがっているんですよ。
なぜ日本人は妻と夫が仲良くできないのでしょうか?」
別のキャリアウーマンぽい女性が言う。
「家なんてだんなは毎日終電ですよ。子供作りしたくても土日は疲れはててとても、そんな気持ちにはなれないんです。だからあきらめて私もキャリアの道を」
売れない女優さんが発言する
「なんか、夫婦で、デートしたりできればよいですけど、子供がいると難しいらしいですよ。私は主婦を集めた芝居の講座をもってるんですが、飲んでると、夜のお勤めが辛い、旦那に枯れてほしいって言うんですよ。ほんとにくたびれているんだと」
田村祐二が
「それなら芝居をやめて、ダンナと性生活を営めばよいではないですか?」
中村優子が
「は?女は旦那の言うとおりに性欲を満たしやがれってことなのですか?」
売れない女優も
「そうです!今の田村議員の発言は取り消してもらいたい。生き甲斐で芝居をやってるんですよ」
田村祐二はめんどくさいなあと、思いながら、ここは謝るのが面倒がなくてよいだろうと判断した。
「少子化を思うあまり、配慮が足りませんでした。女性は産むためのものではけっしてありません。今の言葉は取り消させていただきます。申し訳ありません」
皆納得した。
それにしてもなぜ男は興味がないのか?
仕事で結局くたびれていて余裕がないのだろう。
結局、法案のアイディアとしては、夫婦が、性生活をたのしめるようにしたい、そうしたらこどもはふえる。
そのためには週休三日制にする。
仕事も残業なし。
それでは立ち行かない会社もあるだろうから、そこは政府がカバーする。
食べていけなくては子供どころではない。
父親がなるべく家族で仲良くできるようにである。
そして、幼い子供や小学生から高校生まで預かる。
元保育士の主婦のよいアルバイトにもなる。
その主婦が夫婦でデートしたいときはもちろん預かれるようにする。
ある程度例えば小学生でうちにも小学生の子供がいるなら、お互い預けあえるようにチケットを発行するとか。
その間に子供を作れということだ。
学費が大変だとよくいわれるので、幼稚園から大学あるいは専門学校まで無料にする。
そして、繁殖力のたかい浮気者の男の子どもを身ごもってもその男から養育費を政府が給料差し押さえてとりたてる。
もちろん奥さんがいる場合は慰謝料が発生するが、養育費用はもっとたかい。
しかし外に10人の子供を作ったとすると払える養育費は三千円だったりする。
そこは国がカバーする。どうしても子供がほしいのだ。
そして、奥さんが育児休暇を取っても夫が育児休暇を取ってもキャリアには不利にならない。
もしも不利な事案があれば会社は正さなければならないし、ふりだった社員に慰謝料をはらわなければならない。
それは労働基準局の事案だ。
労働基準局が動かなかったとなれば全員の給料を3ヶ月カットとする。事案が多すぎれば応援が呼べる。それでも事案が多ければ30%カットにはならない。
とにかく、どんどん決まっていき、国会はどんどんとおしていった。
そして学生結婚にも大学にはもちろん保育所があるが、高校生にも許した。
そして、学問と両立するよう、学校は努力しなければならない。
さて、高校生カップルが、避妊に失敗して子供ができてしまった。
お互い高校二年生なので、悲しいけれど子供は諦めようと二人はきめた。だが、病院に黒服の男女がやって来て、車で連れていかれ、子供を、おろすときの詳細の動画を見せられた。子供は逃げる、しかし、体を引き裂かれ母親の体外から出され命を失う。
高校に保育所があるし、子供も自分達も学費は無料である。
育てるのが辛い時期は国が預かる。高校生ママの勉強が遅れないように補習もちゃんとする。養育費が不足したときは国がカバーするのでどうか産んでほしいとのことだ。
誠也と佳名は考えた。あのかわいそうな赤ちゃんの動画を見たあとではおろしますとはいえない。
それに、佳名は思った。誠也と佳名は愛しあっているのだし、子供を、産んで二人で育てていくってなんて素敵なんだろう。
誠也は今は確かに佳名を大好きだ。だけど、他の女と出会っていないのだからわからないじゃないか。子供は今回はあきらめてほしかった。しかし、佳名の空気が産みたいに変わったのはわかる。
黒服たちは誠也にさっきの映像の残酷さを説いた。必ず大学を卒業できるようにサポートするので、誠也の人生が不利になることは決してないと強調した。
しかも黒服の男は、佳名が、黒服の女とトイレに行っている隙にこうも言った。
途中でもしも別れることになっても子供は国がなんとかする。
もちろん君か、彼女が引き取っても構わない。
しかし、ここで、せっかく授かった子供の命を粗末にするなら、私たちは君の人生をいかようにもできる。
大学はどこを受けても決して受からないようにもできるし、会社だって、クソみたいな会社にしか行けないようにすることもできるんだよ。
誠也は決断した。まだ高校二年生で17才なので結婚はまだできないのだ。
子供を、佳名が産んでも、高校に保育所はあるし、他の女を好きになったら別れたら良いのだ。
どうにか説得できたがこれでよかったのだろうかと黒服の女は考える。
実は議員の中村優子だ。
「それにしても、なんで議員の私たちがこんなことまで。私たちは国会で法案を出すのが仕事でしょう」
黒服の男田村祐二が答える。
「しょうがないだろう。大物政治家の田中先生に直々に頼まれちゃったんだから」
「それに、あの二人、幸せになれると思いますか?男の方がなんだか情熱がたりないというか、できれば逃げたい感じがミエミエで、佳名さんが不幸になる気がして仕方ありません」
「俺たちの仕事は子供を増やすことなんだ。そのあとがどうなろうと知ったこっちゃないんだよ」
「そんな!両親のもとで愛情もらってこそ子供は育つんじゃないんですか?国がなんとかするってどうなんとかするんですか?」
「大丈夫だよ。養子にほしいカップルともカウンセリングを重ねて親になる心構えもできているし、何かあっても心理カウンセラーがちゃんとカバーするようになる」
「うまくいけば良いですけど」
「うまくいかせるんだよ、中村さん、今さら田中先生に私はできませんなんて言えるのか?」
「そうですね。とても言えないです」
「君だって政治家になったからにはやりたいことがあるのだろう。
とにかく、この仕事をやりとげることだ」
佳名と誠也は結婚することはなかった。子供は女の子だった。佳名はなんとか出席日数は足りたものの、補習ばかりで、子供は預けてばかりだった。昼休みや放課後などに保育所に佳名が行くとおっぱいをあげたりとてもかわいかった。友達も一緒に来て可愛がってくれた。
しかし誠也は美人の転校生を好きになり、子供のところへは行ったことがなかった。
また、黒服の中村優子と、田村祐二がやって来た。
佳名が、「誠也の気持ちは転校生にあるのはわかっているので、結婚はしない」とキッパリ言った。
美人の転校生も喚ばれた。
「誠也君と付き合うつもりはこれっぽっちもない」と吐き捨てるように言った。
「自分の子供を産んでくれた女の子をまるでカバーしない男なんて、お断りよ」
とはっきり言った。
実は誠也の評判は、女の子の間で下がりに下がっていた。
優しさのかけらもない男などいらないとまでいわれていた。
佳名が決断した。
愛情はあるけれど、一人で育てていく自信はない。とても辛いけれど、子供を手放すことにする。
佳名は今は18で、18才は成人なので、大人として決断した。佳名の親は手伝うからとは言ってくれたものの、親だっていつ何が起こるかも知れない。佳名の願いは子供が幸せになれるようにだ。
子供のバースデーには子供のようすを知らせる手紙をとどけてくれるという。
誠也は一言「ごめん」といった。
帰りの車の中で、中村優子は「やっぱり佳名さんが不幸になったじゃありませんか」
田村祐二が「そうとも限らないさ」と答えた。
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