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抜きん出たと思った
田中先生の事務所へ行くと、祐二が報告していた。
ナベカマカップルも、ゲイカップルも子供を持つにふさわしいと言えると。
もちろん二組にはちゃんと指導員もつくし、引き合わせて、指導員との相性もそれぞれ合っているようなので安心して良いと思うと報告していた。
田中先生は大変喜んでいる様子だった。
優子は、正式な妻たちも納得して帰ったと報告した。
祐二が
「うーん、それだと離婚が増えそうだけど、それで良いのかなあ」
「ほかに、どうできたと思いますか?」
「そうだなあ、僕なら、ひとしきりダンナの悪口を言わせて気がすんだころに、お帰りいただくかなあ。離婚が増えるのはいただけない」
「そんな!ダンナさんの悪口をいうだけでお帰りになると思いますか?あの人たちが?納得したと思いますか?」
「女性ってさ共感されたら満足みたいなところあるんじゃないの?」
「そんな!そんなことであの人達が納得して帰るだなんて、私には思えないわ」
祐二を出し抜きたかったが、優子は旗色がわるくなってきた。
田中先生が「まあ、そのうち本当に離婚が増えるかどうかわかるからそれからでよいのではないか?それから、ドラマの話を二人で協力して進めてくれ」と言った。
二人になったとき祐二が「俺を出し抜こうとしたんだろ。ミエミエなんだよ」
「なんのこと?」
「とぼけるなよ」
「ええ、そうよ!なんか私より一歩先に行ってるのが気に食わなかったのよ」
「なんだよ、だったら色仕掛けでもして、俺のこと骨抜きにしてみろよ」
「な、何言ってんのよ!私にはそういうの向いてないし、あんたは私のタイプじゃないのよ」
「え?俺のことがタイプじゃない?よく騒がれてんだけどな」
「知ってるわよ、イケメン、若き政治家。おじいさんの代から政治家なのよね。雑誌にも載っちゃってさ」
「気に入らないみたいだな」
「嫉妬してるのよ、認めるわ。うらやましくてしょうがないのよ。
田中先生とも懇意にしてるのも、あなたの血筋なのよね。わたしはね、今の自由党が、女性を集めて塾を開いてそこで勉強してやっと補欠で政治家になれたのよ。あなたみたいな、サラブレッドとは違うのよ」
「俺達ってさあ、時間がないよなあ」
「急になんの話?」
「だからさあ、彼氏いないだろ」
「彼氏?そんなもの、もう政治家になる前からずーっとずーっといないわよ」
「優子さんさあ、鈍いって言われない?」
「名前で呼ばないでよ!ちゃんと中村先生って呼んでよ!政治家は皆先生先生って呼びあってるじゃない!田村先生」
「俺はさあ、お互い悪くないイケテる男女が他に恋人もいないんだし、付き合ってみるのも、仕事が楽しくなって良いんしゃないの?って思ったんだよ」
「...な、何言ってるんですか!た、た、田村先生。からかわないで下さい」
「まあ、ちょっと考えてみてよ、じゃ、また明日」
議員宿舎の前で降ろされて、優子は呆然としてしまった。
付き合う?
私があのイケメンと?
うっそだあ。
嘘、嘘。
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