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「ああいうの、本当は女子からは嫌われやすいんだけどね」
「そうなの？ なんで？」
「坂本みたいに、かわいいかわいいって言う人がいるからでしょ」
ひどく驚いた顔をする坂本に、本当に気づいてないのかと呆れる。
でもそんなの全く気にならないほどに真奈が好きなのだということは、純粋さを感じて少し羨ましくもある。本当に少しだけ、だけど。
だから真奈が私に懐いているのは単純に、他に仲良くしてくれる人がいないからだということも分かってる。
悲しいけど、仕方ない。役得と思うしかない。
そう思わなければ友達なんてできやしない。
「かわいかったらなにが悪いの。かわいいって言われる人を嫌うってどういうこと？ かわいいかわいいって言う軽薄な人間な人間を諌めないことを怒られるって意味？ それは直接軽薄な人間を叱るべきじゃない？」
「うるさいなぁ。ていうか、自分で軽薄なの分かってるんなら、ちょっとは控えたら？」
「えー、好きって思ったら、こう、弾けちゃうんだよ、言葉とか諸々が」
身振り手振りで伝えようとしてくる様が少し幼くて、へえ、と頷くと坂本はにやりと少々意地悪い笑みを見せてきた。
「でも、高藤さんもかわいいって思ってるんでしょ」
お見通しだとばかりに笑う坂本に、鼻で笑ってみせる。
「真奈は何しててもかわいいの」
わかる、と短くも力強い肯定だ。そして途切れる会話。
でもお互い視線は真奈に向けられたままだ。心地よい。
こういうのも友だちだと言うのだろうか。
違うか。普通、同じ人を好きって、ライバルとかそういうのだ。
でも、どうしたって私たちは真奈の眼中にないわけで、じゃあこの関係ってなんだろう。
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