第二章 サイダー

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「僕は高藤さんと今も仲良くできて嬉しいけどね」 「……そういうのをしれっと言えるのは、すごいと思う。ほんと、素直に」 「いまさらだなー」  僕ってわりと素直な方だと思うよ、と言うと鼻で笑われてしまった。  別に誉めてるわけじゃないからね、という高藤さんの言葉に棘はない。  坂本は本当に仕方ない人だな、と高藤さんが僕を許しているのがわかるし、僕も許されるだろうなと思いながら発見しているのでおあいこだと思う。  高藤さんもわりと相当だけどねー、と言う前に高藤さんが思い出した、とばかりに口を開いた。 「そういえば、あれ、来た?」 「あれ? ああ、あれね。来たよ」  タイミング的に何が言いたいのかすぐにわかったけど、我ながら以心伝心感があってちょっと笑ってしまう。  同窓会のことでしょ、と言うと頷かれる。  少し前にポストにハガキが届いていた。まだ行くかどうかは決めていないけど。 「同窓会ねぇ」 「坂本、行くの?」 「うーん。んー、そうだなぁ。高藤さん以外に親しくしてる人ってあんまいないんだよねー」  高藤さんとは定期的に時間を合わせて食事やら何やらと一緒にしている。  それが一ヶ月開くことが稀、というほどの頻繁具合だから、それ以上に親しい相手となるとまじでいない。  そもそも友達多いタイプじゃなかったしなー。そつなくって感じだったしなー。それより何より綾坂さんだったしなー。  高藤さん行くなら行こうかなー、とちょっとふざけて言うと高藤さんは案外真面目な顔をしてこう言った。
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