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「ありがとうな」
礼を言うのは完全にこっちだ。俺しか呑まないビールの管理までしてもらってて。
宵闇はリビングに戻ってきて、俺を背中からぎゅっと抱きしめる。
「ただいま」
「へいへい、おかえり」
俺の首筋に顔を埋めてるヤツの頭を撫でてやる。付き合ってそろそろ8ヶ月になるけど、俺らはいつもこんな感じでベッタリしてる。こいつは家事はやりたいけど離れたくもないみてぇで、ちょっと離れたあとはこうやって戻ってくる。これが、あと数時間で30になろうという闇の帝王宵闇様…ではなく、中の人である須藤義弘くん。どうだ、すげぇ可愛い彼氏だろ。
そのまま抱きつかせといて、まだ残してあった今日の突き出しを摘んでビールを呑む。居酒屋みてぇに、俺が呑み始めると、何か一品出してくれる。今日のはチーズとアボカドがわさび醤油で和えてある。美味い。
「それ、どう?」
「めちゃめちゃ美味い。どんだけでも食える」
「良かった。今度洋風もやってみるよ」
「洋風だと何になるんだ?」
「オリーブオイルと…塩胡椒。クレイジーソルトでも良さそうだな」
楽しそうな声だ。こいつが楽しくてやってくれてるんならいい。
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