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暫く動きのないまま時が過ぎ、俺にとって被害がなさそうなことを感じたのか、ようやく体が動き始めた。
徐々に血液が顔に戻ってくるのを感じる。
その間そいつは、もごもごと顎に指をあて、おかしいなと言わんばかりに首を傾げていた。
「あ!」
突然叫び、ぎゅんとこちらに視線が飛び込む。
「好きなので、付き合ってください!」
まるで正解を見つけたかのように、そいつが今までで最高に血走った瞳を向けてガラガラとした喉で叫んだ。
その瞬間、俺の顎も解放された。
「好みじゃないので出直してください!!」
思った以上に出た声のせいで、階下からドンとうるさいという苦情の合図が鳴った。
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