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「俺の好み?」
「そう、だってここまで変われたのは、あなたのお陰だから……だから、もっとあなた好みになりたいな、なんて。……ダメかな?」
出会った頃に比べれば随分と変わった彼女は、それはもう俺の好みまっしぐらだ。
「もう十分だと思うけど……じゃあ、自分的にどこがダメだと思う?」
「え? そうだなぁ……爪かな。ちょっと白くてあんまりキレイじゃなかったな、とか」
彼女は視線を周りに向けて、道行く女性たちの手元を見ているようだ。
ピンクやブルーの華やかな装飾がすれ違う彼女たちの指を飾っている。
待ってないと言いながらも、待っている間ずっと研究していたのだろう。
「自分でわかってるんじゃん。もう自分でも十分磨けると思うけど?」
「でも……やっぱり好みに、なりたいもん」
顔を赤らめて、俯きながら震える彼女は抱きしめたいほどに可愛らしい。
その素直な性格のお陰で、彼女はここまで可愛くなった。
「それはありがたいけどさ、じゃあ次に会う時まで頑張ってみてよ」
「次も会ってくれるの!?」
「なに? 不満?」
「そんなわけない! ない! ない!」
ぴょんと飛び跳ねて、彼女は全力で手を振った。漫画でいえば汗が飛び出ている描写がぴったりだろう。
「だから、今日は普通のデートってことで良いよね」
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