厄介なアドバイス

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電車を乗り継いでたどり着いた、アウトレットは盛況だった。 レンガ造りを基調とした場内に数々の有名ブランドが軒を連ね、お洒落で身を固めた人たちが楽しそうな声を響かせる。 「うわぁ。たくさん人がいるね! すっごく楽しそう!」 両手を胸の前で合わせて、キラキラとした瞳を輝かせ、目の前に広がる景色に彼女の声が躍った。 「ね! どこから行こうか!」 「ん? 気になるところ端から見て行っていいんだよ」 「えぇ!? 良いの!?」 いちいち大げさな驚き方に、俺の方が怯みそうだ。 その言葉を真に受けたのか、本当に端っこに向かって彼女は自然と駆け足になった。 別に構わないけれど、1日で全部見終わるだろうか。せめて好きなブランドでも決めて回ったらいいのに。 「ねえ、あなたはどんな服が好み?」 彼女を追いかけて入った女性向けの洋服を売りにした店で、白いワンピースを指さしながら聞いてきた。 「ん? どんなのでも可愛いと思うけど?」 「……も、もうっ」 とっさにくるりと背中を向けて、赤くなりかけた顔を隠す。 「うーん。強いて言うなら、そういう白いワンピースより、もっと色が付いたものの方が良いと思うけどね」 「え、えぇ? そうかなぁ……?」 背けていた顔が戻ってきて、後ろ手にしながら彼女はもじもじと体をよじった。
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