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帰国が決まったと一報を受けたのは遡ること3ヶ月前。年が明けてすぐの頃。
人の異動が頻繁に巻き起こる貿易会社に勤める彼女にしては珍しく、前もって帰国の通達がされたケースらしい。
数日の音信不通を食らった俺からすればとにかく青天の霹靂だった。
手短に、ただその衝撃のまま送ってきただろうメッセージを仕事の合間に何度も読み返した。
《慎太郎、お待たせ。3月末で帰るね》
不思議だった。終わりが見えない内は願いと望みを心の端で絶やさないことだけ意識していたが、いざ彼女の帰国が事実として知らされた途端、戸惑いが生じた。
《ユウちゃん、お疲れさま。愛してる》
急いで返したこのメッセージに俺の喜びと戸惑いは網羅されているのだろうか。でも、どんな修飾も要らない。
ただ紛れもなく変わらず愛していることが伝わればいい。なんてクサくてダサい自分が大腕振って顔を出した。
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