12120日目

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わたしの仕事は毎朝7時、 静かに部屋のカーテンを開け、 日差しを迎えることに始まる。 ——おはようございます。お父さま。 わたしの声に反応し、 ベッドに寝たきりのお父さまは、 ゆっくりと目を(ひら)いてこう言う。 「……おはよう、マリア。いい朝だね」 家具のほとんどない室内に、 ()えられた介護用ベッド。 ()せた体とまばらな髪は、 淡い日差しの中に透けるほど細く、薄く、老いてはいるが—— その瞳には科学者らしい、理知的な光が宿っている。 ((いと)おしい、お父さま……) わたしは介護用。 あなたはわたしの開発者。 たとえ生物学的な意味で「親子」と呼べぬ間柄でも、 自分をこの世に生み出してくれた相手を「お父さま」と呼ぶことに、そう間違いはないはずだ。
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