12120日目

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——お部屋の空気を()えますね。 ——お食事をお持ちいたします。 家族のいないこの家で、 お父さまの身の周りのお世話をできるのはわたしひとりだけ。 1年365日、休まず変わらぬ日々の勤めを、一度のミスも無く繰り返す。 換気は1日のうちに四度。 1日三度のお食事は、液状栄養剤をスプーンでお口に運んでさしあげる。 1日に二度、お体を拭き、着ている服とベッドのシーツを新しい物に取り替える。 お着替えのために抱き上げる時、お父さまの体は軽い。 力加減を誤れば、落として壊してしまいそうなほどデリケートなその重量を、わたしは用心深く扱う。 (もし、この人を傷つけたなら……わたしはすべてを失うだろう) 時折、そんなことを思う。
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