お父さんの、厄除け日記帳

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 思い返せば、真耶が小学校5年生のとき、楽しみにしていた学校でのキャンプを、この厄除け日記帳のせいで諦めた。真耶は、朝ベッドの上で行きたいと言って駄々(だだ)をこねたけれど、「絶対に駄目」と母から厳しく言われ2日間泣き通した。  ところが、クラスメイトの由奈(ゆな)が、キャンプの最中に落石に遭い足の骨を折る大怪我をしたのだ。もし真耶がその隣にいたら。考えただけでも体が震えた。  『5月26日 5年生のキャンプには行かないように』  そう厄除け日記帳には書かれていた。  中学2年生のソフトボール部の大会決勝にも、日記が原因で出場しなかった。そのときは大会中に落雷があり、チームメイト数名が負傷している。  それ以来、真耶は厄除け日記帳に書かれている自分の未来に起きる災難を、極力避けて生きてきた。どんな事件や事故が起きるのかは、後にならないと分からないが、中には交通事故や殺人者との遭遇など命に係わる予言も多く記されていた。 .
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