流星の下で

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 少女の隣には一匹のネコがいた。  町のはずれにある小さな神社のお社。  その境内で少女とネコはゆるやかな時間を過ごしていた。  ネコの体毛は黒く、尻尾の先だけが白い。  月と街灯の明かりが射し込む暗闇の中で、その尻尾はメトロノームのように静かに揺れている。 「今日ね、また泣いちゃったんだ」  ネコの背を撫でながら少女は空を見上げた。 「ミカちゃんがね、どう思う?って聞いてくれたのに答えられなかったんだよね」  質問は簡単なものだった。  しかし、意思表示するには声を出さねばならない。 『どう思う?』  至って平凡で世に溢れる言葉。  だがそれは、彼女にとっては辛い言葉だった。 「いいと思います。それすら言えないんだよ、わたし」  ひときわ強く光る星を眺めながら悔いる少女の目にはうっすらと涙が浮かぶ。   「『これでいい?』って付け足して言ってくれれば肯けたのに……って、答えられないわたしが一番ダメダメなんだよね。わかってる。わかってるんだよ、そんなの」  少女が手の甲で涙をぬぐうも、ネコは退屈そうにあくびをしている。 「ひどいなぁ……まぁ君には関係ないか~。でも君と話すようにみんなと普通に話せるようになりたいんだよ~」  少女はネコの顔を覗きこみながら首もとへと手を伸ばす。 にゃぁ  ネコは短く鳴き、顔を上げて気持ち良さそうに甘い声を出す。  そしてゴロゴロと喉を鳴らしたそのとき、ネコの瞳はキラリと光っていた。
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