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まさか、僕が自分で自分の曲を歌うようになるとは思いもしなかった。
また声が出なくなるんじゃないかって恐怖といつも戦ってたから、こんな日を夢に見る事すら無かったのに、
今、僕はこのアステリズムが広がる場所に立っている。
不思議だね…。
なにもかも諦めたつもりだった。
だからこそ、この景色が奇跡みたいだ。
いつの間にか最後の曲で、これで終わるんだと思うと寂しかった。
涙が出そうで、でも幸せで…
この空間は僕の曲の世界なんかじゃ比べ物にならないくらい素晴らしいもので、切り取って置いておけるのなら良いのに。
そんな事すら思えてしまう。
だから精一杯の感謝の気持ちを込めて、僕は客席に向かってお辞儀をしながら呟いた。
「ありがとう」って。
アンコールは無い。
その代わり、オープニングで流したあのインストのアレンジしたものを流す。
僕が沢山の人と出逢って、大切な仲間ができて、こうして生きて曲を作ってこられたことへの色んな気持ちをずっと音として紡いできた。
それを表すような幾つもの楽器と音色を重ね併せた、オープニングとは違う曲にも聞こえるようなインスト。
エンディングはオープニングと違って音を外さずに最後まで綺麗な音色でいく。
そして、オルゴールの蓋が閉まる音で終わる。
きっとその後は暫く静寂が広がるんだろうな。
それが僕のこのステージで一番出したかったことで、僕の音楽人生を表現したもの。
一生で一度しかない初ステージは、きっと忘れられない大切な思い出。
その思い出を胸に、これからも僕はまた星を紡いでいくんだ。
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