星紡ぐアステリズム

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リハーサルは大丈夫。 セトリも何度も確認した。 振り付けだって、歌詞だって、何度も繰り返して身体に染み込むまで覚えた。 声も、ちゃんと出る。 …なのに、どうしても不安になる。 チケットは売れたけど、本当にお客さんは来るのか? アンチは居ないだろうか? 最後まで楽しんでもらえる演出に出来ているだろうか? もし途中でなにかあったら…? 時間が近付くたびそんな不安と緊張で震えが止まらなくなっていく。 手も、足も…。 このまま立っていられないんじゃないか。 そんな事まで思ってしまう。 「ああ、もうこのまま逃げ出してしまいたい…。」 「なーに言ってんだよ。」 どこからか聞こえてきた声に飛び上がる。 その反応を見てなのか、くっくっと笑うのを堪えるようにして後ろから現れたのは僕の初めてのファンであり、大切な友人だ。 「お前を待ってる人がどれだけいると思ってんだ。」 「だってぇ…」 「だってじゃないだろ。やるって決めたのはお前だし、背中押したのは俺だ。今更辞めるなんて許さねえよ。」 「分かってるけど…。」 もじもじと衣装の裾を掴んでいじる。 男が情けないとでも言われそうだけど、今はそんな事言われたところで気にならない。 そのくらいステージの事しか頭にない。
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