第五章 張り巡らされた罠

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…どの位、眠っていたのだろう? 気が付くと、明るかった窓の外がオレンジ色に変わっている。 辺りを見回すと、美術準備室に居るのは分かった。 ただ、身体の自由が利かない。 まるで全身が鉛のように重くて苦しい。 唯一動く顔を動かし、自分の寝ている場所を確認した。 そこは黒い布で覆われたテーブルの上に、僕は全裸で寝かされていた。 そして僕の身体の周りには無数の羽が散らされていて、何が起こっているのか理解出来なかった。 すると僕の反対側から、一心不乱に絵を描いている永田先生の姿が見えた。 「先生?」 声を掛けると、永田先生がゆっくりと微笑み 「良かった…、君の瞳の色が分からなくてね…」 そう言って、僕の顎を掴んで持ち上げる。 「そう…、綺麗な薄茶色の瞳をしている。きみは…本当に何もかもが完璧に出来ている」 うっとりと僕を見下ろし、永田先生の唇が僕の唇に触れる。 (な…に…?何が起こっているんだ?) 鈍っている頭で必死に考えようとする。 でも、何もかもがぼんやりとしていて思考が追い付かない。 身体は指一本も動かせず、ただ、永田先生の思うがままにされるしかなかった。 この時、秋月の言っていた言葉が脳裏をよぎる。 『永田には気を付けろ!』 (こういう事だったのか…) ぼんやりとした頭で、秋月の言葉の意味を今更知る事になるなんて…。 人形のようになった身体を、永田先生は満足そうに見下ろしている。 「このまま…きみを閉じ込めておけたら良いのに…」 永田先生はそう呟くと、僕の身体を撫で始める。すると、触れられた場所から身体に熱が点る。 「んっ!」 小さく呻くと、永田先生は嬉しそうに微笑み 「きめ細かくて、沁み一つ無い肌。触ると、吸い付くようだ…」 うっとりと呟き、僕の手の甲にキスを落とす。 「やっと手に入れた…俺の天使…」 そう言って、僕の身体を抱き締める。 それはまるで…、子供が初めてお人形を手にした時の姿に似ていると思った。 動かない身体のまま、僕は永田先生が何をしようとしているのか怖かった。 段々と身体が熱くなり、息苦しい。 下半身に熱が集まり、自分の身体が尋常じゃない事に戸惑う。 動かない身体と、内側から身体を支配されるような疼き。 自分の身に何が起こっているのか分からなくて、恐怖に思考が止まる。 すると永田先生は 「天使は綺麗な身体じゃないとダメだよね…。今まで、何人か女の子を試したんだ。でも…みんな綺麗な身体じゃなかったんだ」 狂気じみた笑顔を浮かべて呟く。 「その点、きみは本当に綺麗だよ」 うっとりしながら、僕の頬に頬を摺り寄せる。 そして僕の両足を割開き、普段は誰の目にも触れない秘部に指を這わす。 「あっ……!」 思わず漏れた声に、羞恥で唇を噛み締める。 その反応に永田先生は満足そうに笑うと 「ここはまだ、誰にも触れられていない。硬い蕾のまま」 そう呟いて、ゆっくりと僕の身体にキスを落とす。 「きみに触れる初めての人間が僕なんて、新雪に足跡を付けた時のようなゾクゾク感を感じるよ」 触れられる場所から、じわりと知らない熱が身体の中を支配する。 「んっ…」 唇を噛み締めて、上がる声を抑える。 「嬉しいな…、感じているんだね。白い肌が、薄いピンクに染まってる」 永田先生は楽しそうにそう言って、僕の乳首に舌を這わせた。 「やぁ!」 首を仰け反らせ、全身を駆け抜ける刺激に身体が震える。 (何で?嫌なのに……気持ち悪いのに…) 涙が頬を伝うと、永田先生はべろりと涙を舐めた後、頬に吸い付くようにキスをした。 「赤地君、欲望に戸惑うきみも美しい」 そう言って、僕の唇を塞ぐ。 舌をねじ込まれ、口内を侵される。 でも、自由になる口で抵抗しようとしたその時、熱を持ち始めた僕の中心を握りしめた。 「!」 一瞬、息が止まる。 「抵抗しようだなんて、思わないでね。そんな事をしたら、きみを殺さなくちゃいけなくなるから…」 ゾッとする笑顔を浮かべ、先生は僕の首を閉めるように触れる。 「ねぇ…赤地君。どうしたら…きみを俺だけのモノに出来るんだろうね?」 暗い瞳が、僕をジッと見つめる。 呼吸が苦しくて…、でも身体が熱い。 必死に恐怖と闘いながら、浅い呼吸を繰り返す。先生はうっとりとした顔で僕を見下ろし 「きみを氷漬けにしたら、永遠に歳も取らずに美しさを閉じ込められるのかな?」 クスクスと笑いながらそう言って、首に触れていた手が離れる。 安堵したのつかの間。 永田先生の指が僕の唇に触れて 「でも…そうなると、きみを抱くことは出来なくなるんだよね…」 考えこんでそう呟く永田先生の言葉に、僕の額にジワリと嫌な汗が出る。 「大丈夫だよ、そんなに怖がらないで。きみを抱く為に、たくさん勉強したんだ。痛くなんかしないから…」 ずっと僕の身体を抱き締めたまま、永田先生が楽しそうに耳元で囁く。 そして囁いたまま、僕の耳をねっとりと舐め回す。 ガサガサと嫌な音がして、抵抗したくても出来ない自分が悔しくなる。 「そうだ……。絵を仕上げる為に、最後の仕上げをしなくちゃいけないんだ。」 先生はブツブツと話すと、そっと僕の身体を撫でながら 「きみを抱くのは、絵を完成させてからだな。俺ね、好物は1番最後に食べるんだ」 まるで無邪気な子供のように微笑んでそう言うと、突然、ズボンのファスナーを下ろして、下着から怒張したモノを取り出した。 (ちょっと待って……。絵を完成させてからじゃないのか!) 恐怖で視線を逸らせない。 「ふふふ、そんなに見ないでよ。嬉しいな~。喜んでくれるんだ」 にっこり微笑み、僕の髪の毛を鷲掴む。 「ねぇ…、舐めて」 そう言われて、目の前が真っ暗になる。 口元に当てられ、必死に顔を振って抵抗すると、鼻を摘まれて呼吸が出来ない。 苦しくて口を開けると、強引に捩じ込まれた。 「歯を立てないでね。それから、噛み付いたりして抵抗したら…殺すよ……」 ゾッとする目で言われ、僕はされるがままにしていた。 先生は僕の頭を掴み、腰を動かす。 自由にならない身体は、抵抗する事も出来ずに口内を犯される。 涙と、喉を刺激されて出る嗚咽。 口を開けられた状態で、涎が滴り落ちる。 先生は目を閉じて、恍惚の表情で僕の口内を犯し続ける。 (助けて……、誰か助けて……) 心の中で必死に叫ぶ。
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