第五章 張り巡らされた罠

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そして、僕の身体を汚して乾いているモノを見て 「やっぱり、右手の骨を砕いてやれば良かった」 そう吐き捨てるように言うと、僕を抱き締めた。 「すみません。もっと早くに、私が駆け付けていれば…」 悲しそうに呟く田中さんに、僕は小さく微笑む。 「…でも、助けてくれた」 僕の言葉に、田中さんが泣きそうな顔をしている。僕を抱き上げると、テーブルの布やら羽を退かして 「硬いですが、少し我慢して下さい」 そう言って、田中さんのジャケットを下にして僕を横に寝かせた。 そしてネクタイを外し、突然、シャツも脱ぎ出すのでギョッとしていると、そのシャツを僕の身体に掛けてくれた。 田中さんはシャツの下にアンダーウェアを来ていて、鍛えられた身体がアンダーウェア越しに見える。綺麗な身体だなぁ~って思って見ていると、何だか身体の中心が熱くなった。 そういえば、身体が変だったのを忘れていた事を思い出す。 田中さんはバケツに給湯器からお湯を入れ、そっと僕の身体を起して肩にもたれさせると、僕の身体をハンドタオルで拭き始めた。 温かいタオルが、そっと僕の顔を拭う。 唇に田中さんの親指が触れ、心臓が跳ね上がる。 田中さんは何かを察知したのか、眉間に皺を寄せながら僕の顔を綺麗にすると 「一度、タオルを洗います。又、身体を倒しますよ」 そう言って、僕の身体をジャケットに下ろす。 田中さんのジャケットとシャツから、田中さんのコロンの香りがして、もう、心臓が大騒ぎだった。 バシャバシャと洗う音が響き、バケツの水を流す音。そして再びバケツにお湯を張り、田中さんが僕の身体を起してタオルにお湯をたっぷり染み込ませ、洗い流すように身体を拭いている。 「あの…ジャケットとシャツが…」 オロオロして言うと 「洗えば綺麗になります。それより、今はあなたの処置が先です」 そう言って、僕の身体を綺麗にしてくれた。 1番恥ずかしかったのは、自分さえ見た事が無い場所まで綺麗にされてしまった。 嫌がったんだけど、なんの抵抗も無く綺麗にしている田中さんに、僕は情けない気持ちでいっぱいになった。 ただ、身体を拭いて貰う度、忘れた熱が蘇ってしまい、全て綺麗になる頃には、僕の分身は元気に勃ち上がっていた。 隠したいけど、隠せないこの悲しさ。 身体は熱を持って、田中さんに抱かれたい衝動に駆られる。 助けて貰っておきながら、なんて自分はダメな人間なんだと落ち込んでいた。 すると田中さんは冷静に 「赤地さん、大丈夫ですか?」 そう言って、僕の完勃ちした部分を指差すと 「恐らく…媚薬か何かを盛られたんだと思います。」 って言って、僕の完勃ちした部分に手を触れた。 「ちょっ…!」 慌てて顔を上げると、真剣な顔で 「一度、抜きましょう。そうしたら、楽になりますから」 そう言って扱き始めた。 「ダメ…!」 田中さんの肩にもたれた頭を、必死に田中さんの首に擦り付ける。 「汚い…です。ダメ…です」 半泣きになって訴えると 「ですが、このままでは辛くないですか?」 と聞いてくる田中さんの首に額を押し付けて 「辛いです…。でも…、僕がダメな人間だからなので…」 って呟いた。 すると田中さんは僕の両頬を挟み、顔を上げると 「何言ってるんですか!あなたは薬でおかしくされているんです。ダメな人間とか言わないで下さい。良いですか!あなたは被害者なんです!」 そう言って怒られた。 あまりの剣幕に涙が溢れ 「怒らないで…」 って、思わず泣いてしまう。 すると田中さんは困った顔をして、僕をそっと抱き締めると 「怒ってないです、すみません」 そう言って、僕の頭を優しく撫でた。 「取り敢えず、まずは楽になりましょう。あなたは不本意かと思いますが、身体が動かないので、私の手で我慢して下さい」 そう言われて、ゆっくりと優しく触れられて、上下に扱かれる。 「ご自身の時は、どうされていますか?気持ち良い場所とかありますか?」 まるで美容院のシャンプーで「お痒い所はありませんか?」的な感じで聞かれ、何故、この人はこんなに慣れている?と思って、顔を見上げる。 「自分って……何ですか?」 気持ち良くて、上がる呼吸を抑えながら聞くと 「え?自慰行為しませんか?」 って、普通に聞かれる。 僕が赤面して 「そんな事、した事ないですよ!」 そう叫ぶと、田中さんは驚いた顔をして僕を見た。 「何ですか?」 「あ…いや。16歳で自慰行為の経験が無しって…。じゃあ、童貞ですか?」 何故、この人は「サイドメニューはいかがですか?」的な言い方で、デリケートな部分に突っ込んで来るんだ! 僕を扱く手を止めず、変な質問ばかりする田中さんにムッとしていると 「じゃあ、何処が良いか教えて上げます」 そう耳元で甘く囁かれ、先端を指で撫でられて、蜜を吐き出す穴を軽く爪先で刺激された。 「えっ……、いやぁ!」 身体がガクガクと震え、そこから白濁の液体が吹き出した。 初めて射精をしたのが、男性の…しかも助けてもらった人の手とか…有り得ない。 頭がパニックを起していると 「ね、気持ち良いでしょう」 にっこり微笑み言われて、僕は恨みの視線を投げる。でも、身体の疼きは治まらなくて 「おかしいな?1回出しとけば、楽になる筈なんですけど…」 田中さんも首を傾げている。 一度放った事で、身体が快楽を求め始めた。 おかしい、身体が熱い。 田中さんの香りにクラクラする。 「赤地さん?」 荒くなる呼吸に、目の前の田中さんを襲いたくなる。唯一、動く口で、田中さんの首に舌を這わす。どうしよう。この人に抱かれたい。 身体が動かないのがもどかしい。 頭がおかしくなる位、身体が熱い。 田中さんの香りだけで、気が狂いそうになる程に欲情している。 「田中さん…抱いて下さい。辛いです…」 半べそになって呟いた時、田中さんが 「赤地さん、すみません」 そう呟くと、首の後ろに衝撃が起こって意識を手放した。
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