嵐の夜

4/4
前へ
/99ページ
次へ
「はぁ……ぁぁっ……」 チカチカする視界に、首を振って意識を必死に手繰り寄せる。 田中さんの唇が、反射的に流れていた涙を舐め取り 「蒼介さん、愛しています」 そう囁いた。 僕は涙で滲む視界で、必死に田中さんを見つめて田中さんの頬を両手で包み込み 「陽一さん…、僕も愛しています」 そう呟いた。 その瞬間、僕の中の田中さん自身が大きくなって、田中さんの身体がブルっと震える。 「あっ……んっ……」 僕の口から漏れたのは甘い喘ぎ声で、もっと…もっと…とねだるように、無意識に腰が揺れている。 田中さんは僕を強く抱き締めると、大きく息を吐いて 「蒼介さん、あまり刺激されると…イッてしまうので……」 珍しく切羽詰まった声に、田中さんの足に自分の足を絡めて、腰を自分で揺らしてみた。 「ちょっ……そう…す……け…」 慌てた感じの田中さんが愛しくて、田中さんの首にしがみついて腰を自分で動かしながら田中さんを締め付ける。 汗でしっとりしている背中を撫でながら、顔を埋めている田中さんの首筋と肩に舌を這わせた。 すると田中さんの身体がビクビクっと小さく痙攣して、「くっ……ぅ」と、息を詰める声がした。その時、僕の中で田中さんが少し吐精したのが分かった。 「あっ……」 ブルっと僕が震えると、田中さんが僕の腰を掴んで抱き寄せ、座位の形になる。 困ったように僕を見つめた田中さんが 「蒼介さん、刺激しないで下さい。久しぶりだから、少し出てしまったじゃないですか。俺はあなたのように若くないんですから、一度イッたら回復するまで時間が掛かるんですよ」 そう呟いた。 その言葉に、僕の身体の奥がゾクゾクした。 「大丈夫です。僕が又、大きくさせますから…」 田中さんの耳にそう囁くと、僕は腰を動かして田中さんを刺激し始める。 田中さんをイかせたくて、激しく自分で腰を動かして田中さんにキスをした。 少し出した田中さんの精子のお陰で、動きが楽にスムーズに動く。 自分の動きに合わせて「パチュパチュ」っと湿った音が交じる打撃音に刺激されて、腰を激しく動かしていると、田中さんの手が僕の尻臀を鷲掴みにして下から突き上げて来た。 「あぁ!すご……い……」 思わず仰け反った首に、田中さんがジュッっと音を立てて吸い付いて来た。 「あんっ…あんっ…あんっ……あっ……」 突き上げられて、グッと腰ごと落とされて深く差し込まれる。 僕も負けじと、引き抜かれる瞬間にキュッと閉めて腰を引いた。 すると、田中さんが 「あっ………」 っと僕が小さく息を漏らした瞬間、僕の身体をそのまま押し倒して 「すみません……もう……」 そう呟いて、物凄い早さで揺すぶられて僕の身体も一気に快感へとかけ昇る。 「あっ…あっ…あっ…あっ……」 漏れる喘ぎを、田中さんの唇が奪い去る。 「んんっ……んっ、んっ、んっ、んっ…」 絡まる舌、僕の中を縦横無尽に動き回る田中さんにたまらない快楽を与えられて、絶頂が近いのを感じた。 唇を塞いでいた田中さんの唇が離れると、僕の胸をジュッと音を立てて吸い上げた。 「あぁぁぁ!」 一際甲高い声が出た瞬間、田中さんが強く数回腰を打ち付けた。 グリっと奥まで回し入れられた時、僕の中で田中さんが精を放った。 すると僕のお腹の中を、温かいモノが満たして行く。ガクガクと身体を震わせて 「あっ…あっ…あ……」 と喘ぎながら、全身の力が抜けていく。 「はぁ、はぁ、」と荒い呼吸をした田中さんが、ゆっくりと僕の身体に覆い被さってきた。 互いの荒い呼吸が重なる。 僕の身体に覆い被さるように重なる田中さんの背中をそっと抱き締めた。 すると田中さんがゆっくりと上半身を起こし、僕の中から田中さん自身を引き抜こうとする。 「待って!もう少しだけ…このままで」 と訴えると、田中さんは優しく僕の頬に触れてキスを落とす。 「すみません…。ゴムを付けるつもりが、余裕がありませんでした」 申し訳無さそうに言われて、僕は首を横に振る。 「別に赤ちゃんが出来る訳じゃないし、僕はこれからも着けないでして欲しいです。」 「え?…でも…」 「だって、その方が田中さんの熱を直に感じられるから…、僕はそのままの方がいい」 そう返した瞬間、僕の中で小さくなっていた田中さん自身が大きくなった。 予想外の事に 「や…ぁ……」 甘い声が漏れて、無意識に田中さんの腰に足を絡めてしまう。 田中さんは困ったように僕を見つめると 「あなたはどうして…、そうやって煽るんですか…」 そう呟くと、僕の頬を両手で包んでキスを落とす。 触れるだけのキスに、僕も田中さんの頬を両手で包む。 愛しい人が優しい笑みを浮かべて、僕の手に田中さんの手が触れると、ゆっくりと僕の右手を掴んで手の平にキスを落として微笑む。 たったそれだけの動作なのに、ゾクリとする程に色気を感じて身震いをしてしまう。 すると田中さんは小さく息を「はっ…」と吐き、困ったように微笑む。 「本当に…困った人ですね…」 僕の頬を撫でながら、ゆっくりと田中さんが腰を引いて僕の中から田中さん自身を引き抜いてしまう。 自分の身体にあった熱を失う消失感に 「やっ……」 っと、小さく呻いてしまい頬が熱くなる。 「今日は煽られっぱなしなので、お礼をしなくちゃいけませんね」 ニヤリと不敵に笑う田中さんに、僕は思わず尻込みをする。 「これだけ煽ったんですから、覚悟は出来てますよね」 僕の身体を抱き上げ、田中さんは浴室へと歩き出す。 「まずは、出したモノを処理した後で。」 そう言いながら 「俺を煽った事を、後悔させて上げますね」 腰に来る甘い声で、耳元に囁かれる。 「煽って無いですよ!」 慌てて叫んで見たものの 「蒼介さん、無自覚が1番タチが悪いって知ってますか?」 と言われて脚下されてしまう。 浴室では、指で中に出されたモノを掻き出され、その後はベッドで気を失うまで貫かれた。 思考力を失う程の快楽に、もう、何度果てたのかさえ記憶が無い。 お互いの荒い呼吸と、湿った音。 そして打ち付ける打撃音に、僕の喘ぎ声しか響かない空間。 でも、こんなに激しく求められる幸せを感じていた。 失う意識の中で、大好きな人の 「蒼介、愛してる…」 と、吐き出すような呻き声を聞いたような気がする。 僕はふわふわと幸せな気持ちのまま、意識を手放した。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

525人が本棚に入れています
本棚に追加