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ある日、私を呼び出した彼女は、私の目の前で踏み切りに飛び込み。彼女の体は、無残に引き裂かれてしまった。私はショック状態に陥り、彼女の心を救えなかった事をひたすらに悔やんだが……同時に、ある野望に目覚めた。
彼女を復活させるんだ。私の、この手で。
それはやはり、とてつもないショックに襲われた私の、尋常ではない思いつきだったかもしれない。そして私は、線路に散らばった彼女の体を必死にかき集め。それでも足りない部分は……それについては、ここで言及するのは避けよう。とにかく、私は彼女を蘇らせる事に心を捉われ、成功した。彼女のバラバラになった体をつなぎ合わせ。彼女は、再び生を取り戻したのだ。
それから私は、彼女をずっと見守ってきていた。また、あんな事が起きないように。そして、稀に見るケースである術後の経過を心配しながら……。その心配が、ここに来て表面化してしまった。彼女の手首は、明らかに何かしらの拒否反応を見せ始めていた。
「すまない……」
私は彼女の手首を診察し、もう一度謝った。ここまでは、上手くいっていたのに。この拒否反応は抑えられるのか。手首だけでなく、他の部位にも広がってしまうのか。それとも、何か「他の手段」を取らないといけないの……? それっきり黙ってしまった私に、彼女は答えた。
「ううん、いいのよ」
さっきも言ったでしょう? と言うように。彼女はにっこりと微笑んでいた。
「だって、私、生きてるもん。こうやって、痛みを感じながら。まだ、こうして……」
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