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プロローグ
「ダーク。長期の仕事だがいいか?」
「ああ」
実質拒否権はなく、だめだとは言えない。
言うつもりもない。
俺の短い返事に、直属の上司は薄く笑った。
「頼りにしてるぞ。今度の任務は、騎士団だ」
「へえ」
俺は小さく声を漏らす。
騎士団で仕事というのは、なかなか珍しい。
上司は俺の驚きを当然のことと受け取ったようだ。
「いや、実はな、こういうタレコミがあって――」
上司の語る内容に、今度は驚きが表情に出た。
ポーカーフェイスの訓練もしている俺たちが心中の感情を顔に出すのは良くないし、珍しいのだが、上司は叱らなかった。
「久しぶりに大仕事になりそうだろう?」
「ああ」
「上手く行けば、俺もお前も出世できるぞ。協力は惜しまないから、頼む」
「努力する」
「お前のその返事は珍しいな。それほどやる気を出してくれればありがたい」
上司の話はよく耳に入ってこなかった。
ある感情に溺れていたから。
その感情は、暗い悦び。
――やっと、やっとあれに復讐する機会がやってきた――
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