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第3話 出逢い②
「へ?」
バカみたいに呆けていたのが悪いんだけどさ……変な声出ちゃったよ……
「だ、大丈夫? あ、斉多ちゃんの彼女?」
「……そう。って言いたいけどね。違うよ」
少しの間の後、そう答えた斉多ちゃんにオイラは……
「ホッとしたでしょ? えいちゃん。顔に出てるよ」
図星だ……顔がアッツい。酒は好きなのに、直ぐに顔に出ちゃうオイラ
いつにも増して、早く酔いが回りだして……
翌日
斉多ちゃんの務める病院に向かったオイラ
ピアノの旋律の聴こえてくる部屋の入り口に立つ様に言われたから
入り口の中を覗くと
あの娘(コ)だ……
胸がバクバクと煩く鳴って
「彼女は、桃緒風歌さん 21歳だよ」
後ろから斉多ちゃんが……
気配に気が付いたのか、演奏の手を止めてオイラの方をみた彼女……
風歌ちゃん
やはり、寂しそうな……悲しい表情の風歌ちゃん……
「初めまして。凄く寂しい曲だね」
口からツイ出た言葉は、初めて挨拶を交わすには不似合いな言葉達で
「……」
微かに、驚いたような表情をした(気がする)風歌ちゃん
その大きな美しい瞳で、ジっと見つめられドギマギ していると
ふわりと微笑んだ(気がした)風歌ちゃん……
それがオイラと、風歌ちゃんの出逢い
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